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ざいにちべいぐん 日米安保条約及び日米地位協定に基づいて日本国領内に駐留するアメリカ合衆国の軍隊。 沖縄を始め日本国内各地に拠点を持ち、旧世界地球では西太平洋や日本国を含む東アジア全域に合衆国の軍事的プレゼンスを示す役割を担っていた。 日本国自衛隊が専守防衛をドクトリンに掲げる一方で在日米軍は攻撃的な装備を保有し、自衛隊が「盾」、在日米軍が「矛」として日本国の防衛に携わることが想定されていた。 空母やイージス艦を含む艦艇や航空戦力を保有しておりその戦力としての質は日本国自衛隊と互角以上である。 日本国の異世界転移によって在日米軍は法的に曖昧な地位に置かれた上、原作者みのろう氏によって本作が日本国の物語である以上は在日米軍を主体的に活躍させる予定が無いことが公言されているため、作品中の彼らの存在感はそれほど大きくない。 ただし空母運用のノウハウを自衛隊に教授するなど、裏方として重要な活動をこなしているらしい。クルセイリース編では久しぶりに言及され燃料気化爆弾と地中貫通爆弾のサンプルを提供していた。(*1) 異世界転移によって一転して主導的に新世界秩序の構築に携わる立場となった日本国にとって、国内の外国軍事力として特権を享受しつつ大小のトラブルを持ち込む在日米軍の存在意義は懐疑されており、彼らの将来的な扱いに日本国政府は頭を悩ませていくことが予想される。 関連項目 用語|自衛隊|アメリカ合衆国|海上保安庁 ※既存のコメントに返信する場合、返信したいコメントの左側にチェックを入れて下さい。 過去のコメント ルール的にこういう場合在日米軍はどうすることになっているんだろう? そりゃ想定外もいいところだろうが? - 名無しさん (2020-11-29 13 16 19) 本国壊滅を想定したマニュアル位あるんだろうけど、絶対表に出る事のない部類だから想像できない。- 名無しさん (2020-11-30 00 17 45) 米国政府が破壊された場合、在日米軍が米国政府の後継者となる。 在日米軍はその後、異世界における事実上のアメリカ合衆国政府となる。 それは飛び地でしょう。 [日本語訳] - 名無しさん (2023-11-13 07 34 07) 自衛隊の暴れっぷり見て動けない米兵ウズウズしてそうだ - 名無しさん (2020-12-30 20 24 50) 猫の手も借りたい状態だったグ帝連合艦隊戦の時ぐらい出てくるかなぁって思ってたんだけど……… - 名無しさん (2021-11-29 22 56 46) (続き)米軍も参加してたらグレアト特攻からの砲撃戦のリスクはまず起きなかっただろうに。 - 名無しさん (2021-11-29 22 59 05) 一発本土に届いたら安保発動 諸外国からは本土防衛以外では戦わない契約の傭兵部隊扱いかな? - 名無しさん (2021-12-23 13 45 48) みのろう氏は「本国からの命令がないと絶対に動かないから書かない」と言っているけど、その本国が“消滅”したからには維持に必要な予算も消滅するし、日本の「思いやり予算」だけをあてにするなら、一時的にせよ日本が帰属先ということにならんのかね。空母や原潜の運用ノウハウを勝手に教えることだって、本来なら出来ないはずだし。そもそも訓練しないと練度も維持できないわけだから、基地に引きこもったままというのは無理があると思うんだけどな……。 - 名無しさん (2021-11-30 01 05 06) 国が無くなったから事実上組織が解体されてるのか、臨時政府が頑なに協力を拒否してるかみたいな? - 名無しさん (2021-12-23 16 34 42) ぶっちゃけ、軍事衛星がないから在日米軍のイージス艦や原子力空母も戦力半減以下だし、どのような状況になっても米軍の機密情報を日本側に教えることはない。核ミサイルを密かに配備していたとしても発射には大統領の発射コードが無ければ打てないので無用の長物。ていうかそれ、日本側にバレたら終わる。戦闘機なども衛生を使用しているからソレがなければ・・・みたいな感じで戦力としてはかなり限定的だと言わざるを得ない - 名無しさん (2022-01-22 14 10 35) 動くとなれば日本政府管轄になるだろうし、防衛省管轄の衛星使うんじゃ無い? 流石に同盟国の衛星とデータリンク出来んなんて事はあり得ないと思うが…… - 名無しさん (2022-03-28 23 32 18) 「共用」する為に西側規格なんて物があるぐらいだしねぇ… - 名無しさん (2022-03-28 23 33 22) There are a lot of misconceptions here. 1.) The United States Navy does not require satellites to do its job. It's just easier with them. America has had super-carriers like the USS Enterprise (CVN-65) before common use of satellites was even a thing. The United States Navy also trains for not having satellite communications/GPS available because of the renewed threat of countries like China and Russia shooting down these satellites in the opening hours of a war. Given that the U.S. supercarrier that would be present is likely the USS Abraham Lincoln (CVN-72) which allows the launch and recovery of aircraft that can't operate on the いずも型護衛艦, and are nuclear-powered with virtually unlimited range, having them would be a huge bonus for the 海上自衛隊. And I'm sure the 在日米軍 would glad assist in any missions if they could. 2.) Concerning nuclear weapons, you're talking of the "Permissive Action Link" system. These are on strategic nuclear weapons... Tactical nuclear weapons like the "W54"/"Special Atomic Demolition Munition" don't have this. Whatsoever. They can be used by the commander's authority without the President, in theory. - Anonymous (2023-11-13 07 22 44) 出す予定ないとは言え、少なくない自国民も一緒にとばされてる以上、グ帝戦ぐらい参戦しそうなもんだが…… - 名無しさん (2022-03-28 23 39 14) Twitterで1年ぐらい前に書いたが、在日米軍のF-16とKC-10は、消耗部品の問題(スパホとE-2は最悪、厚木の日飛に機体を維持できるだけの図面あると思うが、16は本土で重整備、DC-10なんてJALもANAもとうの昔に過去帳入り)でグ帝戦が最後の御奉公の機会だったんだよな。 - 名無しさん (2022-03-30 20 39 43) こいつら核兵器持ってるかね?だとしたら最後の切り札的存在になるかも - 名無しさん (2023-06-23 11 14 13) It’s nonsense that you don’t include the US forces in Japan. Look at Arpeggio, I think. First of all, the isolated US forces in Japan would claim autonomy and act jointly. Your self-defense? Is that what you call it? That unique ideology seems convenient. And if you had TNW, wouldn’t you use it in a critical situation, like when Japan is about to be invaded? Also, if they had an aircraft carrier docked, that would be useful in a world bigger than Earth!! - anonymous (2024-02-14 22 49 40) 名前 ここを編集 〔最終更新日:2024年02月15日〕
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最新の情報は、●米軍 へ 0807 ベトナム戦争時の米兵残虐行為、大半が不処分…米紙 [読売] 0330 米民主党 安保政策の骨格発表、イラク米軍の大幅削減提唱 [毎日] 0326 核先制使用ありうる 米統参本部が戦略文書 [赤旗] 0317 米の安保戦略改訂 北朝鮮の反発は必至 6者協議に影響 [朝日] 0317 米、単独行動色を薄める 大統領が安保戦略を改訂 [朝日] 0304 防空識別圏内を無人機飛行 米空軍、性能売り込みか [共同] 米国防予算、特殊部隊や無人機増強に力点 [朝日] 核施設統合で調査費計上 米、07年度予算案 [共同] 米国防報告、対テロは「長期戦争」 海軍、太平洋に比重 [朝日] 将来の中国軍事力を警戒 米国防戦略見直し [共同] 太平洋地域で海軍増強 「米国防計画見直し」骨格判明 [赤旗] 対テロ戦、中国が主要課題 米国防戦略見直しで米紙 [共同] 米韓外相声明 在韓米軍の域外展開を容認 [毎日] 東欧の旧共産主義国に初の米軍基地=ルーマニア訪問のライス長官が調印 [時事] スペイン風邪ウイルス、生物兵器転用の恐れ…米が登録 [読売] 米、伊の海軍基地から完全撤退へ 両国が合意 [朝日] 米政府、インドネシアへの軍事支援再開を決定 [読売] 米軍基地再編効果、300億ドル超下方修正…米専門委 [読売] ウズベキスタン、駐留米軍撤退を要求…米紙報道 [読売] 米陸軍部隊再配置を発表 第1軍団司令部 座間移転は「交渉中」 [赤旗] 米国防総省 2正面戦略見直し検討 1紛争に絞り [毎日] 0807 ベトナム戦争時の米兵残虐行為、大半が不処分…米紙 [読売] 【ロサンゼルス支局】6日付の米紙ロサンゼルス・タイムズ(電子版)は、ベトナム戦争中に米兵が行った民間人などに対する残虐行為の詳細を記録した約9000ページの米軍機密文書を検証した結果、「大半の事例で当事者の米兵が処罰されなかった」と報じた。 文書は、国防総省の調査チームが1970年代にまとめた。戦争時の残虐行為のうち320件を記録しており、米兵203人の事例が強力な証拠に基づいていたが、軍法会議にかけられたのは57人で、有罪は23人だった。禁固6月~20年の実刑判決を受けた14人も大半が大幅な減刑となった。このほか、立証できなかった事件も500件以上あった。 320件のうち7件は67~71年の大量殺害で、少なくとも137人の民間人が犠牲となった。非戦闘員に対する攻撃は78件に上り、少なくとも57人が死亡、56人が負傷し、15人が性的暴行を受けた。拘束した民間人や捕虜に対する拷問も141件確認された。 文書は、94年に機密解除されたが、当時は注目されなかったという。同紙は「米兵による残虐行為は、これまで知られていた以上に広範なものだった」と指摘している。 (2006年8月7日19時10分 読売新聞) URL http //www.yomiuri.co.jp/world/news/20060807i112.htm 0330 米民主党 安保政策の骨格発表、イラク米軍の大幅削減提唱 [毎日] 【ワシントン及川正也】米民主党は29日、今年11月の中間選挙に向け、安全保障政策の骨格を発表した。イラク問題では06年を「主権をイラクに全面的に移譲する重要な節目の年」と位置付け、駐留米軍の大幅削減を提唱。ただ、ブッシュ政権と同様に完全撤退までのスケジュールや道筋は示していないなど、全般的に具体性に乏しい政策提言となっている。 議会民主党のリード上院院内総務、ペロシ下院院内総務らがワシントンで記者会見し明らかにした。「本当の安全保障」とのタイトルで、軍備、対テロ戦争、国土安全保障、イラク、エネルギー政策の5本柱。 対テロ戦争では、国際テロ組織アルカイダなどテロネットワークの破壊とウサマ・ビンラディン容疑者の排除を最優先に掲げ、このために特殊部隊を倍増し、スパイ活動を強化することを提言した。またイランと北朝鮮の核問題への対策強化を盛り込んだ。 提言はクラーク元北大西洋条約機構(NATO)軍最高司令官らの協力を得てまとめた。イラクからの米軍撤退をめぐっては、党内に即時撤退から、撤退時期を明確にすべきではないとの議論まであり、最大公約数を抽出する形にとどまった。 リード上院院内総務は「ブッシュ大統領が公約して守れなかった本当の安全保障を提供するものだ」と語ったが、チェイニー副大統領は29日、米FOXニュースの電話インタビューで「民主党の主張は一貫していない。我々はイラクで成功を治め、任務を果たす」と反論した。 毎日新聞 2006年3月30日 12時07分 (最終更新時間 3月30日 12時09分) URL http //www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/news/20060330k0000e030055000c.html 0326 核先制使用ありうる 米統参本部が戦略文書 [赤旗] 米統合参謀本部は二十四日、「大量破壊兵器とたたかう国家軍事戦略」と題された戦略文書を発表しました。大量破壊兵器の脅威に対処するために核兵器を先制使用することもありうることを明らかにしています。 今回の文書は、ホワイトハウスが十六日に発表した「米国の国家安全保障戦略」などの各論の一つ。大量破壊兵器とたたかう「八つの任務」として、(1)攻勢作戦(2)廃絶作戦(3)阻止作戦(4)能動的防衛(ミサイル防衛など)(5)受動的防衛(6)結末管理(7)安全保障協力・パートナー活動(8)脅威削減協力―を挙げています。 このうち「攻勢作戦」では、「大量破壊兵器の脅威や使用を抑止、打破するため」に「核兵器」が「含まれる場合がある」と述べ、核先制攻撃がありうることを認めています。 また、「一部の標的を打破するには特殊な能力が必要だ」とし、「地下深くにある強化された標的を打破する能力」や、「付帯的影響なしに化学・生物兵器を打破あるいは無効にする能力」などを例示しています。これらは、核兵器の使用を念頭に置いたものとみられます。 「廃絶作戦」は、「攻勢作戦では民間人や米軍・同盟軍に受け入れがたいリスクが及ぶ」場合に実施されるもの。「兵器、素材、運搬手段の無害化や破壊」を意味するとされています。 文書は、大量破壊兵器とのたたかいで同盟国やパートナーの動員を重視しています。(坂口明) URL http //www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-03-26/2006032607_01_0.html 0317 米の安保戦略改訂 北朝鮮の反発は必至 6者協議に影響 [朝日] 2006年03月17日11時42分 米国が16日公表した「国家安全保障戦略」は北朝鮮を圧制国家の一つと位置づけ、不信感を鮮明にしており、北朝鮮側が反発を強めるのは確実だ。米国による金融制裁に反発しつつも最近は軟化の兆しをみせていたが、休会が長期化している6者協議への影響も避けられそうにない。 ニューヨークでの7日の米朝接触で問題解決に向けた両国間の協議機関の設置を提案するなど、北朝鮮は米国の譲歩を期待していたふしがある。だが、米国はこの提案受け入れに否定的とされ、偽ドル札などの不法行為と核問題は別だとする主張を堅持したままだ。 北朝鮮も表向きの主張は変えておらず、朝鮮労働党機関紙の労働新聞は13日付で「米国が(北朝鮮への)敵視政策を放棄しない限り、6者協議再開と核問題の解決は期待できない」と米国を非難していた。今回の安保戦略は、北朝鮮に「敵視政策」を再認識させることになった形だ。 米安保戦略は、北朝鮮、イラン、シリア、キューバ、ベラルーシ、ミャンマー(ビルマ)、ジンバブエを圧制国家の典型例として名指しした。世界の圧制を終わらせるために米国は民主主義を広めるとしている。 URL http //www.asahi.com/international/update/0317/010.html 0317 米、単独行動色を薄める 大統領が安保戦略を改訂 [朝日] 2006年03月17日00時56分 ブッシュ米大統領は16日、外交軍事政策の指針となる政策文書「国家安全保障戦略」を発表した。02年9月に出した文書の事実上の改訂版で、前回文書で提唱した、大量破壊兵器を持つ敵への先制単独攻撃も辞さないといういわゆる「ブッシュ・ドクトリン」自体は継承する路線を打ち出しているが、民主主義と自由の拡大で「圧制に終止符を打つ」という側面により力点を置いた。「現実的な手段」を強調、外交的な解決策を優先するといった表現も目立ち、単独行動主義的な色彩は薄まった内容だ。 国家安全保障戦略は、86年に連邦議会が制定した法によって、安全保障政策を立てる上の最大の指針として、政権から議会への提出が義務づけられている。 ブッシュ大統領はこの戦略が、イスラム過激主義を指す「憎悪と殺人のイデオロギーに支えられたテロリズムの興隆」に向き合う必要から立てられた、と位置づけた。現在の米国が「冷戦初期と同じような、長期にわたる闘争の早い段階にある」とみなし、国民に忍耐を求めた。国防総省が2月に発表した4年ごとの国防政策見直し(QDR)で打ち出した「長期戦争」の考え方を確認した形だ。 その上で、世界の圧制に終止符を打つことを究極的な目標に、民主主義を広めることが米国の政策課題だと断言。北朝鮮、イラン、シリア、キューバ、ベラルーシ、ミャンマー(ビルマ)、ジンバブエを、圧制的支配にある国家の典型例として名指ししている。 大量破壊兵器に対抗する戦略の中で、核開発計画が問題となっている北朝鮮とイランについて、それぞれの国の「悪い行い」が、米国の国家・経済の安全保障に害を加えないよう「あらゆる手段を用いる」とした。 特にイランについては「我々にとってこれ以上大きな挑戦となる国家はない可能性がある」とした上で「直接対決を避けるためには、外交的な努力が成功しなければならない」と警告した。 北朝鮮については「二枚舌による交渉のひどい経歴を持っている」と非難したが、「平和的外交的解決へ最も希望が持てるのは地域協力を通じてだ」と述べ、6者協議の枠組みを引き続き重視する記述となっている。 URL http //www.asahi.com/international/update/0316/016.html 0304 防空識別圏内を無人機飛行 米空軍、性能売り込みか [共同] 米空軍が先月、長時間の滞空能力を持ち、広域の偵察・監視が可能な米国製の滞空型無人偵察機「グローバルホーク」1機を、南西諸島上空など日本の防空識別圏内で約1時間にわたって「試験飛行」させていたことが4日、分かった。 防衛庁は弾道ミサイル発射情報の早期収集などの目的で、滞空型無人機の2007年度導入を目指しており、米空軍自らが「太平洋圏の有事に対応できる高い性能」(米軍関係者)をデモンストレーションした形。今春にも具体化する機種選定結果に影響を与えそうだ。 政府関係者によると、グローバルホークはオーストラリアを離陸後、グアム、硫黄島上空を経由して南西諸島上空に到達。領空侵犯に備えるため設定している日本の防空識別圏内を約1時間飛行し、オーストラリアに戻った。この機体は以前、イラクでの実戦に使用されていたという。 URL http //flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM PG=STORY NGID=main NWID=2006030401000249 米国防予算、特殊部隊や無人機増強に力点 [朝日] 2006年02月07日11時14分 米国防総省は6日、ブッシュ大統領が議会に出した07会計年度(06年10月~07年9月)予算教書のうち、国防予算4393億ドル(約52兆2800億円)の詳細を発表した。先週発表した06年版の「4年ごとの国防政策見直し」(QDR)で不確実な国際情勢に柔軟に対応する「非正規戦」の能力を強調したのを受ける形で、特殊部隊の拡充ぶりが目立つ。 同省によると、07年度予算では、海兵隊に新たに特殊作戦部隊司令部を設けるなど、特殊部隊の増員に51億ドル(対前年比10億ドル増)を計上した。現在の5万人規模を07年度で4000人増やし、11年度までの5カ年で6万4000人体制をめざす。 海外任務や情報収集力の向上を狙い、アラビア語など語学教育・訓練にも前年比21%増の1億8100万ドルを計上した。また、24時間態勢の情報収集のかなめとして無人機の使用を広げ、07年度だけで調達と研究開発に17億ドル近くを計上した。今後5カ年で、現有能力を75%上回る322機を新規調達する。 URL http //www.asahi.com/international/update/0207/004.html 核施設統合で調査費計上 米、07年度予算案 [共同] 【ワシントン5日共同】ブッシュ米政権が6日に議会へ示す2007会計年度(06年10月-07年9月)予算案の中で、現在あるロスアラモス研究所など3つの主要核研究機関や5つの核開発製造施設などの整理統合を進めるための調査費を計上することが5日、分かった。エネルギー省高官が共同通信に明らかにした。 ブッシュ政権は国際テロ組織や大量破壊兵器保有国といった新たな脅威の台頭を踏まえ、(1)核戦力と通常兵力の一体運用(2)ミサイル防衛-に加えて、有事に核を増産できる「即応性のある核インフラ整備」という3つの柱で抑止力の再構築を進める方針で、調査費計上はこうした流れを反映している。 URL http //flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM PG=STORY NGID=intl NWID=2006020601000186 米国防報告、対テロは「長期戦争」 海軍、太平洋に比重 [朝日] 2006年02月04日11時47分 米国防総省は3日、米軍戦略の今後20年間の基本的な指針を示す「4年ごとの国防政策見直し」(QDR)の報告書を発表した。01年9月の同時多発テロ以来、米国がイスラム過激主義に対して続けている戦いは、冷戦並みの労力と時間を要する「長期戦争」だと位置づけた。対テロなど、従来通りの戦力では十分に対応できない「非正規」な分野に軍事力の比重を移すことをうたっている。 台頭する中国は脅威ではないが「戦略的岐路にある国家」として、軍事的な敵対の道を選ばないよう導く戦略が必要だと指摘した。中国を意識するだけでなく、国際テロ組織の攻撃などによる混乱に備える必要性もあるため、世界全体で11群を配置する方針の空母攻撃群のうち6個群を太平洋に置き、潜水艦も6割の隻数を太平洋に集中させる。経済活動や通商ルートとして太平洋地域の重要性が高まっていることが、この地域での海軍力の増強の背景にある。 今回のQDRは、この種の作業としては初めて「戦時下」でまとめられた。5年目に入った対テロ戦争、イラク戦争の教訓を踏まえ、米軍全体のあり方を総括し、今後の方向性を打ち出している。 イスラム過激主義との「長期戦争」は、アフガニスタンやイラクでの対テロ戦争にとどまらず、不確実で予測ができない形で今後何年間も続くと予想した。かつて冷戦時は「国家対国家」の対立が軸だったが、こうした従来型の思考から脱し、より機敏になってテロなど不確実性への備えを保つことが不可欠とした。 米軍が能力を傾注すべき分野として(1)イスラム過激テロの撲滅(2)大量破壊兵器(WMD)の拡散防止と使用の阻止(3)国土防衛(4)中国やロシアなど「戦略的岐路にある国家群」に敵対的な道を選ばないよう促しながら万一の事態にも備える、の4本柱を挙げた。 イスラム過激テロに対しては、陸軍のグリーンベレーに代表されるような特殊作戦部隊の要員を15%増やすほか、無人機飛行大隊の新設、心理作戦と民政・復興部門に携わる要員の33%増などを盛り込んだ。また、大量破壊兵器の捜索と確保に専念する特殊作戦部隊の創設も提案した。 米軍の組織論としては、これまでの陸海空軍の縦割りを前提とした構造を変え、戦略的な必要に応じて実力を臨機応変に配分できるような「水平型」への全面的な改革の必要性をうたった。 「米国だけではこの戦争は勝てない」として、同盟国や友邦との協力を増す重要さも強調した。日本を「米国の力のよりどころの一つである同盟国」として、北大西洋条約機構(NATO)、豪州、韓国と並ぶ形で挙げており、ミサイル防衛分野での共同開発にも触れる形で協力関係に言及した。 ◇ 〈キーワード・4年ごとの国防政策見直し(QDR:Quadrennial Defense Review)〉 米国防総省の中長期的な戦略文書。国家安全保障戦略(NSS)を受けた形で、兵力の構成、兵器計画などの米軍全体のあり方について、約20年後を視野に入れた青写真としてまとめる。法律で4年ごとの議会への提出が定められている。97年と01年に続く3回目で、イラク問題やテロとの戦いが長期化するなか、05年秋の提出期限を過ぎても編成作業を続けていた。 URL http //www.asahi.com/international/update/0204/006.html 将来の中国軍事力を警戒 米国防戦略見直し [共同] 【ワシントン3日共同】米国防総省は3日、安全保障政策の指針となる「4年ごとの国防戦略見直し(QDR)」を公表した。台頭する中国について「軍事的に米国と並ぶ最も大きな潜在力を持つ」と指摘し、将来的にライバルになる可能性があると警戒感を鮮明にした。6日に議会に提出される。 空母を現在の12隻体制から11隻に削減する一方、このうち6隻以上と、潜水艦の6割を太平洋に配備し、大西洋からの戦力シフトを打ち出した。また、ブッシュ政権が進める「対テロ戦争」を「長い戦争」と規定し、長期化を明確にした。 今回のQDRは米中枢同時テロ直後の2001年9月以来で、4年半ぶりの改定。今後20年間の米軍の兵力構成や国防政策の方向性を示し、3月決着を目指す在日米軍の再編問題や、東アジア情勢にも大きな影響を与えそうだ。 URL http //flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM PG=STORY NGID=main NWID=2006020401000551 太平洋地域で海軍増強 「米国防計画見直し」骨格判明 [赤旗] 米国メディアは、二月六日に米国防総省が発表予定とされる「四年ごとの国防計画見直し」(QDR)の骨格が判明したと報じています。その最終的な内容は不明ですが、一連の報道や民間研究機関が公表した草案抜粋などによれば、新QDRは、米国が直面するテロ勢力などとの「長期戦争」に諸外国をいっそう巻き込み、日本を含む太平洋地域を重視する内容となっています。 QDRは、米軍の構成や配置を定める基本文書です。今回発表される二〇〇五年版QDRは、〇一年九月のQDRに次ぐもので、ブッシュ政権になって二度目。今日の米国が対ソ「冷戦」に匹敵する対テロ「長期戦争」に直面しているとの認識にたち、そのためには、米国内の各軍や各省、および諸外国軍との「継ぎ目のない統合」が必要だとしています。 重視されている課題の一つが、太平洋地域での海軍戦力の増強です。「貿易と運輸の世界的な移動」に応じ、空母十一隻のうち少なくとも六隻、潜水艦の六割を太平洋に回す体制をとるとしています。これは、最近の米軍の太平洋重視の動きをいっそう強めるものであり、従来の大西洋重視体制からの大きな転換を意味します。 その要因として指摘されているのが、影響力を強める中国への対処です。ワシントン・ポスト紙によれば、ヘンリー国防首席副次官は最近の演説で、QDRの四つの主要目標の一つとして、「戦略的岐路」にたつ中国のような国に影響を及ぼすことを挙げています。 太平洋重視体制のもとで特筆されているのが日本の役割です。QDR草案は、「日本、オーストラリア、域内のその他の諸国との同盟が、域内での関与と、共通の安全保障上の脅威に対処する協力行動を促進している」と述べ、日米同盟を高く評価しています。ミサイル防衛配備での日本との協力の進展にも触れています。 新QDRは、このほか、特殊部隊や海兵隊の役割を重視しています。核兵器については、「確固たる核抑止力を維持する」としています。 草案は、「攻撃への対応を強いられるのでなく、攻撃を予防する必要」や「多国間の脅威が成熟する前に、それらを妨害し敗北させる」必要があるとして、先制攻撃戦略を継続する意図を表明しています。他方で、「対テロ戦争勝利や、その他の安全保障上の死活的目標の達成は、軍事的手段だけでは不可能だ」とも述べています。 (坂口明) URL http //www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-01-30/2006013006_01_0.html 対テロ戦、中国が主要課題 米国防戦略見直しで米紙 [共同] 【ワシントン24日共同】24日付の米紙ワシントン・ポストは、米国防総省が来月上旬にも公表する予定の「4年ごとの国防戦略見直し」(QDR)について、対テロ戦争、米本土防衛、中国などの台頭、大量破壊兵器の拡散防止の4つが主要なテーマになると報じた。 今回のQDRは、今後20年間の米軍の兵力構成や国防政策の指針となる見通し。 同紙はヘンリー国防副次官(政策担当)の話などとして、QDRでは従来型の脅威に代わり、テロリストによる生物兵器使用や、中国による米国の情報システムへの攻撃など、「非対称型」の脅威への防御に重点が置かれると強調。 また、敵対する国家による大量破壊兵器入手の動きを防ぐとともに、テロリストや過激な原理主義グループの浸透をいかに阻止するかが大きな課題になると指摘した。 URL http //flash24.kyodo.co.jp/?MID=HKK PG=STORY NGID=intl NWID=2006012401003697 米韓外相声明 在韓米軍の域外展開を容認 [毎日] 【ソウル堀山明子】第1回米韓外相級戦略協議を受けてライス米国務長官と潘基文(バンギムン)・韓国外交通商相が19日発表した共同声明に、韓国が在韓米軍の「戦略的柔軟性の必要性を尊重する」との文言が盛り込まれた。在韓米軍の朝鮮半島域外における展開を可能にし、世界各地で行われている米軍再編と機動力強化の流れを追認した形だ。しかし韓国では、中台対立に巻き込まれるとの不安も強く、韓国外交当局者は懸念払しょくに懸命だ。 声明には「米国は、韓国国民の意思を無視して東北アジアの地域の紛争に介入してはならないという韓国の立場を尊重する」とも記され、韓国国民の懸念に対する米国の一定の理解も示された。 金塾(キムスク)北米局長は外相会談後、「事態が発生したら米韓は緊密な協議を行う」と述べ、事前協議で在韓米軍にブレーキをかけるのは可能との認識を示唆した。また「中国など周辺国に緊張を与えることはない」と強調した。 ただ、在韓米軍の「柔軟性」が中台の軍事的緊張に備えた対応であることは否定できず、韓国メディアは「周辺国と複雑な外交摩擦が起きないか憂慮される」(聯合ニュース)と警戒心を強めている。与党・開かれたウリ党の一部議員や革新系野党からは「(朝鮮有事を想定した)在韓米軍の役割を変更するなら米韓相互防衛条約を改正し、国会で批准すべきだ」と国会審議を求める声も出ており、国民の理解を得るには時間がかかりそうだ。 毎日新聞 2006年1月20日 23時47分 URL http //www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/news/20060121k0000m030162000c.html 東欧の旧共産主義国に初の米軍基地=ルーマニア訪問のライス長官が調印 [時事] 【ベルリン6日時事】欧州歴訪中のライス米国務長官は6日、2カ国目の訪問国ルーマニア入りした。同長官はルーマニア側と同国内に計4つの米軍基地を設置することに合意、ウングレアーヌ外相との間で調印式が行われた。東欧の旧共産主義国に米軍基地が設けられるのは初めて。 URL http //www.jiji.com/cgi-bin/content.cgi?content=051207073028X577 genre=int スペイン風邪ウイルス、生物兵器転用の恐れ…米が登録 [読売] 【ワシントン=笹沢教一】米疾病対策センター(CDC)が先月、強力な新型インフルエンザの対策を研究するとの理由で、1918年に猛威を振るったスペイン風邪ウイルスを遺伝子工学を用いて再現し、その後、生物兵器に転用の恐れがある「指定病原体リスト」に登録していたことが25日明らかになった。 人のインフルエンザで同リストに記載されたのは今回が初めて。このリストは、病原体や毒素が生物兵器としてテロに悪用されるのを防ぐため、96年に制度化され、2001年の炭疽(たんそ)菌騒動を機に制度が拡充された。 登録された病原体を所有する施設は出荷などの記録を保存し、査察にも応じなければならない。 リストには、天然痘や炭疽菌、エボラウイルス、リシンなど70種以上が記載され、中国などで拡大している高病原性鳥インフルエンザは登録されていたが、人のインフルエンザは含まれていなかった。 (2005年11月26日12時56分 読売新聞) URL http //www.yomiuri.co.jp/world/news/20051126i104.htm 米、伊の海軍基地から完全撤退へ 両国が合意 [朝日] 2005年11月25日10時26分 イタリアのマルティノ国防相は23日、同国サルデーニャ島北部沖合にあるセントスティーブン(伊名サントステファノ)米海軍基地から米軍が完全撤退することで米伊両国が同意したと発表した。米軍の地域再編計画の一環とみられる。同相は時期を明らかにしていないが、サルデーニャ州のソル知事は24日、「撤退は06年中に行われる」との見通しを示した。 同基地は原子力潜水艦の母港で、冷戦時代の72年に伊政府が議会の承認なしで米軍駐留を決めた。伊紙レプブリカによると、現在は約2500人の米兵が駐留しているという。 撤退は、ワシントンでのラムズフェルド米国防長官とマルティノ国防相の22日の会談で合意された。マルティノ国防相は当初、「米潜水艦が引き揚げる」と発表したが、その後「潜水艦だけでなく基地全体が撤退し、別の国へ移る」と言い直した。移転先の国については言及しなかった。撤退理由について、伊国防省次官は「地中海地域の安全保障を考慮し、米国が30年前とは異なる新たな戦略的需要に基づいて決めたもの」と述べた。 基地はサルデーニャ島沖合の小島マッダレーナ島にあり、仏コルシカ島に面している。一帯は美しい海と砂浜がある有数のリゾート地で、環境保護団体などが長年、米軍撤退を求めていた。ソル州知事は「撤退は6~12カ月以内で、06年中に行われる。非常に良いニュースだ」と述べ、跡地を観光用に転用したい意向を示した。伊ラジオ局は歓迎する声のほかに、基地や米兵に依存する地元民が撤退後の暮らしを心配する声も伝えている。 イタリアには同基地のほか、アビアノ、ビチェンツァ、ナポリ、シチリア島など6カ所に米軍基地がある。 URL http //www.asahi.com/international/update/1125/002.html 米政府、インドネシアへの軍事支援再開を決定 [読売] 【ワシントン=坂元隆】米政府は22日、インドネシアへの軍事支援再開を決定した。 同国への軍事支援は、インドネシア国軍が独立前の東ティモールで独立派住民への迫害を扇動したとの理由で1999年以降ほぼ凍結されてきたが、テロとの戦いにおけるインドネシアの役割の重要性を考慮したと見られる。 米政府は国務省声明を通じ、「インドネシアはイスラム世界における穏健派の代弁者だ」とし、イスラム過激派によるテロ撲滅などへの貢献に期待感を示した。 (2005年11月24日0時11分 読売新聞) URL http //www.yomiuri.co.jp/world/news/20051123id28.htm 米軍基地再編効果、300億ドル超下方修正…米専門委 [読売] 【ワシントン=五十嵐文】退役軍人などで構成する米軍基地施設の再編・閉鎖(BRAC)委員会は8日、国防総省の再編・閉鎖案に修正を加えた最終報告書を、ブッシュ大統領に提出した。 国防総省案のうち86%を承認したものの、基地再編・閉鎖に伴う経済効果については、同省の試算を300億ドル以上、下方修正した。 国防総省は今回の基地閉鎖・再編により、今後20年間で488億ドルの経費が節約できるとしていた。これに対し、最終報告書は、実質的な納税者の負担軽減は150億ドル程度にとどまる可能性があると指摘した。 (2005年9月10日11時54分 読売新聞) TITLE 米軍基地再編効果、300億ドル超下方修正…米専門委 国際 YOMIURI ONLINE(読売新聞) DATE 2005/09/11 09 47 URL http //www.yomiuri.co.jp/world/news/20050910id03.htm ウズベキスタン、駐留米軍撤退を要求…米紙報道 [読売] 【モスクワ=五十嵐弘一】30日付米紙ワシントン・ポスト(電子版)は、中央アジア・ウズベキスタンの外務省が29日、同国駐留米軍を180日以内に撤退させるよう求めた覚書を、タシケントの米大使館に送付したと報じた。 ロイター通信によると、米国防総省の報道担当官も、この覚書が同大使館に届けられたことを確認した。米側は今後、アフガニスタンでの作戦支援継続のため、キルギス駐留米軍の規模拡大などの対応を迫られそうだ。 同紙によると、覚書には撤退を求める理由は記されていないという。 だが、背景には、多数の犠牲者を出した今年5月のウズベク暴動鎮圧に関する国際調査受け入れを米国が要求してきたことに対する、カリモフ強権政権の反発があることは確実だ。同政権は暴動後、ハナバード空軍基地での米軍機の夜間離着陸を禁止、基地閉鎖要求は時間の問題とみられてきた。 中央アジアでの米軍プレゼンスを快く思わないロシアと中国も、こうしたカリモフ政権を後押ししてきた。両国主導の上海協力機構(SCO)は今月5日、サミットで、中央アジア駐留米軍に撤退期限を示すよう要求。中国はウズベクとのエネルギー協力も強化している。 これに対し、ラムズフェルド米国防長官は今月25、26日、キルギス、タジキスタンを訪問、米軍が駐留するキルギスでは基地使用継続への合意を取り付けた。在キルギス外交筋などによると、米ブッシュ政権は今後、ウズベク駐留米軍のキルギスやタジクへの移転を検討する可能性もあるという。 (2005年7月30日19時56分 読売新聞) TITLE ウズベキスタン、駐留米軍撤退を要求…米紙報道 国際 YOMIURI ONLINE(読売新聞) DATE 2005/07/31 09 31 URL http //www.yomiuri.co.jp/world/news/20050730i211.htm 米陸軍部隊再配置を発表 第1軍団司令部 座間移転は「交渉中」 [赤旗] 【ワシントン=浜谷浩司】米陸軍省は二十七日、一九三九年以来という大規模な部隊再編成の具体的配置計画を発表しました。 「冷戦」時代の師団を中心とした編成から、対テロ戦争に合わせた旅団規模の戦力を必要なところに投入できるようモジュール化(組み立て方式化)した旅団戦闘チームへと一段と重心を移すものです。 これによってドイツや韓国など海外に展開する兵力のうち五万人を二〇〇九年までに米本土内の基地に移駐させる方針。一方で、日本については第一軍団司令部(米ワシントン州)をキャンプ座間(神奈川県)に前進移転させる計画を「交渉中だ」(コドイ陸軍副参謀長)としています。 陸軍省は発表で、部隊編成のモジュール化を「より強力、柔軟で緊急展開できる」ようにする「陸軍の最も重要な変革」(ハーベイ陸軍長官)と指摘。モジュール化とその実際の配置を、地球規模での対テロ戦争をはじめとする戦略課題に対応する態勢を備えるうえで「決定的」だと強調しています。 旅団戦闘チームの数をこれまでの三十三から四十三に拡大。また、それぞれの編成をストライカー(装甲兵員輸送車)旅団、歩兵を中心とする軽旅団、戦車などを装備した重旅団の三種類に標準化します。 一方、ドイツに駐留する第一歩兵師団と第一機甲師団をそれぞれカンザス州とテキサス州の基地に移転。韓国からは、現在イラクに派遣されている第二歩兵師団第二旅団をコロラド州の基地に移します。 TITLE 米陸軍/部隊再配置を発表/第1軍団司令部 座間移転は「交渉中」 DATE 2005/07/30 10 59 URL http //www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2005-07-30/2005073007_02_3.html 米国防総省 2正面戦略見直し検討 1紛争に絞り [毎日] 米国防総省:2正面戦略見直し検討 1紛争に絞り防衛強化 【ワシントン及川正也】5日付の米ニューヨーク・タイムズ紙は、米国防総省が、2大紛争に同時対処する戦力を持つ「2正面戦略」の見直しを検討していると報じた。海外での対処戦力を1紛争に絞り込む一方、テロに対する国土防衛態勢を増強させるという。来年2月にまとめる「4年ごとの国防見直し」(QDR)の議論の過程で浮上しているという。 「2正面戦略」は国防総省が増加する地域紛争対処のため、93年以降、採用している基本戦略。具体的には中東と朝鮮半島を念頭にしており、これまでも「2大紛争の同時発生シナリオは現実的ではない」と見直しを求める議論はあった。 同紙によると、マイヤーズ米統合参謀本部議長が今春、連邦議会に、イラク戦争やアフガニスタンでの対テロ戦争への戦力集中により他の潜在的な紛争への対応が制限されているとの懸念を伝えた。「2正面戦略」は事実上困難との見方を示したもので、同紙は同省内で海外紛争への戦力を国土防衛に再配分する必要があるとの議論が出ている、と伝えた。 毎日新聞 2005年7月6日 10時31分 TITLE MSN-Mainichi INTERACTIVE 国際 DATE 2005/07/06 11 19 URL http //www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/news/20050706k0000e030029000c.html
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ガチムチ白豚やガチムチ黒人たちの巣。 沖縄の土地の大半が侵食されている。 基地地主「本音は出て行って欲しいやっさー」 沖縄県の米軍基地の占める場所を表現した刺繍(生徒作品) 米軍基地問題 基地内にはタコベルがあるが一般人は高いフェンスに阻まれて入店不可能。 同じく沖縄には店舗が無いとされるサブウェイやバーガーキングもあるとされるが入店不可。 沖縄に在住でこれらファストフード店を楽しむためには範馬勇次郎なみの腕力家であることが要求される。
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一時期なぜかクランメンバーの間で流行っていたサブマシンガン。 装填数の多さがウリ
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THE歩兵の評価 ここはTHE歩兵を評価するページです。購入検討している人がいたら参考にして下さい。「理由は書かなくてもいいです」 (一人一票まで) 歩兵は面白かった? 選択肢 投票 とても面白かった (775) 面白かった (154) 値段の割りによかった (80) 値段の割りにつまらなかった (8) つまらなかった (7) かなりつまらなかった (51) 評価理由 できれば評価した理由も書いてください。 シンプルシリーズのなかでは面白いほうだし、意外にSランクにするとか、難しいをクリアするとかのやり込みも要素もちょっとあったから。それにDSの割りに画質がいい -- 管理人 (2009-07-23 13 58 28) やりこみ度がなかなかあってよかったのであります! -- 二等兵 (2009-09-02 19 05 44) おもしろいです -- 業務用ルーキー (2009-11-03 16 13 51) エアーガンと歩兵どっちをかえばいいですか -- 亀 (2009-12-08 18 04 35) 歩兵を買ってみるといいですよ -- 管理人 (2009-12-10 22 51 55) 僕はバイオが好きだしいろいろな武器が出てきたから -- SBAZU (2009-12-12 16 44 33) ワイヤレス通信は楽しすぎるw -- 名無しさん (2010-01-13 00 57 32) ストレス解消w -- 約キャット (2010-01-17 14 36 42) 以外に面白いでありますからして!! -- 一等兵 (2010-02-17 20 51 21) キサマらTHE歩兵を買うがいい!!! -- 元帥 (2010-02-17 20 54 03) Sir. -- 歩兵 (2010-02-17 21 00 54) Sir.YES Sir! -- 歩兵 (2010-02-17 21 01 43) なかなか店に置いてないのでであります! -- まだ買ってない (2010-08-01 10 47 24) 飽きるかと思ってもまた別の楽しみが見つかるからいつまでも面白い -- 元帥 (2010-08-13 18 28 48) ↑は携帯ツノガエルって呼ばれてます -- 元帥 (2010-08-13 18 30 22) 武器をコンプリートしたりSをとったり難しいをクリアするのが大変だからいい -- 元帥(携帯ツノガエル) (2010-08-13 18 34 00) つまらないとか言う人の意味が分からん(神戸市出身なので関西『神戸』弁です) -- 元帥(携帯ツノガエル) (2010-08-13 18 36 40) まだ、始めたばかりだけど、ついついやり過ぎてしまう -- 栗林中将 (2010-08-27 20 40 38) DSなのに画質がいいし、はまりますね。 -- 名無しさん (2010-09-18 18 11 04) エンディングに感動しました。 -- 名無しさん (2010-09-23 11 27 43) SBAZU手に入れた時の感動はヤバいって! -- 備前野郎 (2010-10-31 12 02 00) ZANTETSUの姿を見てみたい。 -- 備前野郎 (2010-11-20 18 19 21) スゲーよし全部よし -- お気楽スミス (2010-12-05 11 11 49) 上官うけるーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー -- またまたスミス (2010-12-05 11 14 12) ウケーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー -- またまたまたまたスミス (2010-12-05 11 15 22) 今度買う予定です。すぐ飽きたりしないんですか? -- 名無しさん (2010-12-09 21 46 29) いろいろやる事があるから人によっては飽きたり、飽きなかっりします -- ヘビー (2010-12-20 00 23 04) 俺はもちろん大好きです -- ヘビー (2010-12-20 00 23 50) とても面白いです。地獄の虎難しい・・・ -- クールフォックス (2011-01-04 10 32 43) 武器が多くでるしミッショ -- ウェスカー (2011-03-25 16 23 35) ミッションが多くいろいろ楽しい -- G (2011-03-25 16 29 21) THE歩兵を買うならゲームショプあらしがいいぞーー -- WWWWW (2011-03-25 16 34 08) 電話で聞いてから -- WWWWW (2011-03-25 16 35 40) お勧めの武器はなんですか?(どれを使うか迷ってしまって) -- サラザール (2011-03-29 15 19 55) 画質いいしステージとか武器も多いから結構いい -- ルイス (2011-05-27 10 02 06) やっと全部Sとったぞ~ -- ネコレンジャー (2011-06-11 19 18 28) SBAZU強すぎ -- エルヴィン・ロンメル (2011-06-18 14 08 40) SBAZU 10発はいっている -- 名無しさん (2011-07-16 23 22 17) SMG弱すぎるwwwww -- 名無しさん (2011-07-16 23 24 25) 裏技できるし -- 名無しさん (2011-07-16 23 26 17) ボスキャラ貫通するし -- 名無しさん (2011-07-16 23 28 12) 楽しすぎるーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー -- 名無しさん (2011-07-16 23 30 15) おもしろい 関係ないけどテーマソングは「すげぇよし」じゃなくて「指令よし」だと思う -- 准尉 (2011-09-13 18 02 29) 面白い -- けいじ (2011-09-21 16 04 35) まんこ -- ぶー (2011-09-21 16 05 07) 通信して敵を無視して、通信相手と殺し合いました -- フロリダ系カウボーイ (2012-01-05 09 35 05) 誰か私にいいこと教えて下さい/(@_@)\ -- フロリダ系カウボーイ (2012-01-05 09 38 49) Yボタンをおしてできる、「射撃モード」でBボタンをおしてみて下さい 知ってはると思いますが -- フロリダ系カウボーイ (2012-01-05 09 59 26) どどんてす -- 誰かコメントして~∞ (2012-01-05 12 29 13) Y押してB押すとどうなるの??教えて!(まだ買ってませんが購入予定です。) -- YYYY (2012-01-24 22 13 22) 裏技いいね! -- 国鉄総裁 (2012-03-17 19 20 30) SIMPLEシリーズは駄作が多いがこれは傑作です。オープニングでの上官からの罵詈雑言が一番の見所 -- AZ (2012-06-30 21 57 57) 戦車に乗れたwww -- バイオレンス・パンダ (2012-12-15 11 24 56) まじで -- 名無しさん (2012-12-15 11 26 29) 名前 コメント
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歩兵の武器データ 短銃 名前 射程距離 重量 装弾数 N1911 25m 1.1kg 8 元になった銃 M1911 ガバメント TYPE94 22m 0.7kg 7 陸軍94式拳銃 WOLTER P-38 27m 0.9kg 9 ワルサーP38 PO8SP 22m 0.9kg 7 ルガーPO8 H-POW 25m 1.1kg 13 不明 SMG 20m 1.0kg 1 不明 PO8LMT 22m 0.9kg 2 ルガーPO8 T94LMT 22m 0.7kg 2 陸軍94式拳銃[金色タイプ] 機関銃 N1A1 20m 4.7kg 30 トンプソンM1短機関銃 N1918 50m 8.9kg 20 ブローニング自動小銃M1918 TYPE96 50m 10.2kg 30 96式軽機関銃 TYPE100 20m 4.0kg 30 100式機関短銃 NP40 22m 4.0kg 32 エルマ ベルケMP40短機関銃 SGT44 45m 5.2kg 30 ハーネルSTG44突撃銃 狙撃銃 N1903 50m 3.9kg 5 スプリングフィールドM1903 TYPE97 60m 4.0kg 5 97式狙撃銃 GME43 50m 4.4kg 10 ワルサーGew43半自動小銃 TK1941 70m 20.8kg 5 シモノフPTRS1941 N1903SE 50m 3.9kg 4 スプリングフィールドM1903[金色タイプ] GL1941 70m 20.8kg 4 GME43の金色タイプ 砲弾発射機 N1RPG 20m 18.0kg 1 M1バズーカ RPZ43 20m 11.0kg 1 パンツァーシュレック SBAZU 20m 10.0kg 10 不明[多分実在しないと思う] 格闘武器 有効距離 重量 CONBAT KNIFE 1.5m 0.1kg 軍用コンバットナイフ BLADE 2.0m 1.0kg 刀 BIZEN 2.0m 1.0kg 備前長船[日本刀] PICO2 2.0m 0.5kg 大型のハンマー BW-BAT 2.0m 1.0kg バット ZANTETSU 2.0m 1.0kg 斬鉄剣
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●米軍07 より続く 名前 コメント ↑ご自由にコメントをお書き下さい。
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39 名前:P90 ◆zxHMwgV2XM 投稿日:2006/09/05(火) 11 14 45.93 b8+Z/WYz0 超適当に書いた。みんなの食指に合わないと思うが許して欲しい。 Tちゃん男のままパターン 「○○くん…、どうしたのこんなところで?」 屋上のフェンス際に座ってぼんやり下を見ていると、後ろから声を掛けられた。 「Tちゃんこそ、どうしたんだ?」 質問に質問で返す。いまは昼休み、だけどこんなに真冬の曇ってて寒い屋上には俺とTちゃんしか居なかった。 俺が『女体化』したのは、二週間前。つまり男友達とバカをやれてたのも二週間前までだ。 「○○くんが、なんか変だったから」 思わず立ち上がってしまった。クラスの誰にも気付かれていないと思っていた。 「なんかふさぎこんでるみたいで…」 女になってもほとんど身長が変わらなかった俺は、Tちゃんの小さな頭の茶色いつむじに見下ろす。 言われて、ああその通りだ、と納得できた。 女に変わっても温かく迎えてくれた奴ら。けれど俺は勝手に壁を感じて、どうしても教室に居続けるのが辛かった。だけど…。 「大丈夫?」 ぐりぐりとした大きな目で、心配げに覗き込んでくる。 しかし、見上げながら首をかしげるっていうのは反則じゃないか? 「大丈夫大丈夫、Tちゃん、ありがとな」 何かむらむらとわきあがってくるものを抑えつつ、Tちゃんの頭を撫でると、それが気に食わなかったのか、唇を尖らせながら俺の手を外そうと躍起になるTちゃん。 40 名前:P90 ◆zxHMwgV2XM 投稿日:2006/09/05(火) 11 15 31.05 b8+Z/WYz0 それでもその唇にほんのりと笑みが浮かべられて、心臓がわし?みにされた。 「…あ~も~、かわいいっ!!」 「ふぇ…? うわあぁっ!?」 がばっとTちゃんの頭を抱き寄せると、女になった俺より高いんじゃないかと思うような悲鳴をあげるTちゃん。 「かわいいな~、Tちゃんはっ!」 「○○くん…っ、ちょ、放してっ」 誰がそんな事聞いてやるもんかと思ったが、あんまり抵抗になってない抵抗に心を打たれて、ひとしきり頭をなでまくった後に解放してあげた。 「○○くんの、バカぁ!」 真っ赤になって、しかも涙目で怒鳴るけど、やっぱり迫力がない。そういえば、Tちゃんの頭の位置って、俺の胸辺りだな。 「ごめんね? これあげるから許して?」 腰を曲げてTちゃんと同じ目線で謝ると、Tちゃんはそのままコクリと頷いて、俺が渡したものを受け取った。 Tちゃんが好きな缶の紅茶。もちろんあったかいやつだ。俺の飲みかけだけどな。 だけどTちゃんは疑うことなく、いつものように小さな手を両方使って缶を持って。 そしてそのまま両手で紅茶を飲みだす。 制服の間から見える、色が白くて細い喉をこくこく鳴らしているのが、また妙にツボって。缶を置いたTちゃんをもう一度抱きしめてしまったのは言うまでもない。 誰だってそうするだろうからな。
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116 名前:P90 ◆zxHMwgV2XM 投稿日:2006/09/08(金) 23 35 16.87 1Xsjx0MR0 「ひ~ろみっ、いっしょに帰ろーぜー!」 放課後、僕が教室の前に来たところで、いつものように気に食わないセリフが中から聞こえてきた。 「でも、アキちゃんを待たないと……」 少女と見紛うほどの美少年の眉が困惑したように寄せられる。そうそう、そんな奴の言うことなんか聞かなくても良いんだぞ。 「あ~。でも別にそのうち追いついて……って、ほらもう来てるし」 尋海をそそのかす言葉を吐きながら昌俊は顔をこちらに向けて。ようやく僕の存在に気付いても悪びれもせずに手をひらひら振ってくる。 「いいかげん何度言ったらわかるんだ? くだらない道草に尋海を巻きこむな」 勝手知ったる他人の教室。尋海の席に引っ付いてる昌俊の前まで行って、そう言ってやる。 「じゃあ俺のほうも何度も言わせてもらうけどな、それを決めるのはおまえじゃなくてヒロだろ?」 そんなこと当たり前だ。僕だって尋海が行きたがってるならこんなこと言ったりしない。 ……だけどな、『制服のまま入れる18禁の店、見つけたんだ』なんて言ってるの聞いた身としては止めないわけにいかないだろっ? 「どうしても行きたいなら、せめて家で着替えてから行けばいいじゃないかっ!」 結局3人での帰り道の途中、毎回の同じ説得を昌俊にするけど、やっぱり昌俊から返ってきた言葉はいつものものだった。 「こう、下校途中に行かないと意味ないんだよな~」 いつまでも考えを改めるつもりのない昌俊に溜息をつくと、尋海がくすくすと笑う。 「2人ともいつも飽きないね~」 「ほんとだよな、こいつがいつも突っかかってくるから」 こっちはこれでも譲歩してやってるのに、その言い草はなんだ!? 口からその言葉が出かけて、だけどぐっと我慢してやる。これ以上言い争っても泥沼にしかならないのは目に見えてるし。 そうこうしてるうちに僕たちの家の前に着いた。 「じゃ、また明日な~」 別れ際に『お別れのちゅー』とか称したものを昌俊が尋海にしようとして、それは僕が昌俊の頭を思いっきり殴ったことで阻止しておいた。 「トシちゃんけっこう痛がってたみたいだけどいいの?」 117 名前:P90 ◆zxHMwgV2XM 投稿日:2006/09/08(金) 23 35 51.97 1Xsjx0MR0 玄関に入って尋海がそんなことを話しかけてきた。 「あんなのあいつの演技なんだから放っといていいんだよ。それともあのままされたほうが良かったか?」 「ううん。まったく」 無邪気ゆえの無情さでばっさり切り捨てて、尋海は2階の自分の部屋に向かって行った。 ――まぁ、昌俊の気持ちもわからなくもないけどね。 控えめに言ったとしても尋海はそこらのアイドルなんかよりずっと可愛い。 普通、兄弟がいる人はみんな相手のことを過小評価するもんだけど、僕はまったくそうは思わない。 そのうえ、性格も良くて人望もあるんだからこれ以上言うことなんかない。 深く考えて、少しだけ落ち込んでしまう。尋海とのあまりの違いに……。 双子なのに、僕は本当に十人並みの顔で。 頭の方も、努力してやっと尋海と同レベル。勝っているのは少しばかりの身長と、多少口が回ること。 一時期は普通を装いながらも、内心では醜い嫉妬を尋海に向けていた。なんで同じ日に、同じように生まれたのに…って。 でもあいつはその暗い感情から救い出してくれた。 『同じ日に生まれたって言っても、違う人間なんだから顔が違ってるのは当たり前じゃないのか?』 まだまだ知識が少なかったころ。だからこそ、あいつにとってはなんの含みもない純粋な質問だったんだと思う。 勝手な思い込みでがちがちになってしまっていた頑なな心はその言葉で解放された。 だから感謝こそすれ昌俊を疎ましいと思ったことなんか、今まで一度もなかった。 だけど、最近は……。 「………はあ…」 考えるのを中断した僕は一つだけ溜息を吐いて、顔を上げる。 息を吐きながら、肩の力を抜く。そうして気分をリセットすればまた前を見れる。 そういえばこれも昌俊に教えてもらったことだっけ…? 「…やめやめ」 そうして僕も尋海に遅れて自分の部屋に向かうことにした。 こんな感じが僕たちの日常。僕たちの自然だった。 224 名前:P90 ◆zxHMwgV2XM 投稿日:2006/09/09(土) 11 55 26.18 4ni1XGJR0 117の続き 「今日母さん泊まりになるって」 夜になってかかってきた電話を置きながらの尋海の言葉。まぁ大体予想はついてたけどね。 僕たちの母さんはコンピュータ関係の仕事をしている。ヘルプっていうんだっけ? 仕事が少ない時はずっとうちにいるけど、こうやって切羽詰まった時に母さんは呼ばれていって、そしてその時は大体今日みたいに泊まりになる。 ちなみに父さんは海外出張の真っ只中だ。家ではいつもにこにこしてて少しだけ頼りない感じだけど、仕事になると頭に『鬼』が付くほどの厳しさらしい。 日本に帰りたい、と電話をかけてくるたびに漏らす声からは想像もできないけどね。 「アキちゃんはもう寝る~?」 今日ずっと微妙に具合悪そうだった尋海が目をこすりながら訊いてくる。 「うん。寝ようかな」 双子が同時に精神的に繋がってて云々とかいう迷信を信じてるわけじゃないけど、僕のほうもなんとなくだるくて、まだ少し早いけど自分の部屋に引っ込む。 ――明日は日曜日だし、ゆっくり寝ればすぐに治るよね。 漠然とそう考えて、僕は痛む頭を休ませてあげることにした。 「……っちゃん!? アキちゃんっ! 起きてっ!!!!」 「うぇ!?」 いきなりの大声に僕はすごい勢いで目を開けた。 そこに広がってた光景といえば、まだ薄暗い部屋の中で至近距離から尋海が見つめてきていて、一瞬だけ息を飲んだ。 「どしたんだ? まだ6時前のなのに…」 「アキちゃん……だよね…?」 目は開いてもまだちゃんと覚醒できてなくて、明らかに様子のおかしい尋海に気付かずに僕は疑問符を浮かべる。 「当たり前だろ。僕じゃなきゃ、誰がこの部屋に寝てるんだ?」 「だ、よね…アキちゃん、なんだよね?」 眠くて、意味がよくわからないけど、もう話は終わったと思って僕は布団にまた潜ろうとする。 「ちょっと来てっ!」 なのに手を掴まれて、無理やり部屋から連れ出される。尋海らしからぬ強引さに目を丸くしてるうちに、僕は母さんの部屋に連れて来られていた。 225 名前:P90 ◆zxHMwgV2XM 投稿日:2006/09/09(土) 11 55 58.87 4ni1XGJR0 「見て」 母さんの部屋にある姿見を指しながら尋海が言う。 「なんで…」 「見たらわかるからっ!」 僕はまだ寝たいんだけどなー、と思ったけどしぶしぶ鏡を覗きこむ。 そこにはめんどくさそうにしている尋海が映っていて、別に何も不思議なことはない。 なんでここに連れてきたんだ、と聞こうと振り向いて、そして僕は違和感に気付いた。 尋海はただ不安そうな表情で僕を見ている。そして僕の真後ろにいるんだから鏡に映るはずがない。 じゃあ……、今、鏡にいたのは……? すごく、嫌な予感がする。 動きの悪くなってしまった首をどうにか鏡に向けると、鏡の中の人物も同じ動きで僕を見る。 ――これ……僕、なのか…? 大きな目に、白い首、可愛くぽっちゃりとした唇に、やわらかい猫っ毛。 どこをどう見ても、尋海の特徴なのに、鏡はどこまでも僕と同じ動きをする人を映し出す。 ここまで劇的に外見が変わってしまう現象は一つしか知らない…。 「朝、起きてね……ぼく、トイレに行こうとして、気づいたんだ…」 「何を……?」 「……無かったの」 今度は、何が…とは聞けなかった。尋海の言葉の直後、はじけるように僕は手を伸ばした。自分の股間に。 男なら誰しもあるはずの膨らみ。それが、完全に消え去っていて、信じられない答えが突きつけられる。 まだ全然誕生日には遠いはずなのに……。だから特に何も考えていなかったのに……。 だけど現実は容赦なく突きつけられる。 そう、僕と尋海は、同じ日に女になってしまったんだ。 436 名前:P90 ◆zxHMwgV2XM 投稿日:2006/09/10(日) 02 21 04.37 5m4QO5Mv0 もらい投下 ふらつく足元をお互いに支えながら、僕たちはリビングまで来た。 「…どうしようか、これから……」 どちらからともなく力の無い声が発せられて、だけどそれに答えを見つけることができなくて、沈黙が訪れる。 『15、16歳で女体化』 僕たちが生まれた時には、それが常識になっていた。 学校にも何人かそういう人はいるけど、クラスにはいなくて、どこか遠いことのように考えていたのに……。 「アキちゃんもしたこと、なかったんだね」 唐突にぽつりと呟かれた言葉に、カッと顔が熱くなった。 「そんなのっ、尋海だって同じじゃないかっ!」 「そうだけど…、それにしてもアキちゃん迫力ない~」 こんな時なのにけらけら笑う尋海が信じられなかったけど、よくよく考えれば尋海はほとんど外見に変わりないせいだと思う。 男の時の美少女顔のまま、本当に美少女になって、いつもよりさらに雰囲気が柔らかくなった気がするくらいだ。 対して僕は……。 「アキちゃん、本当に可愛くなったね」 それはほとんど自画自賛に近いんじゃないのか? 僕は顔が同じばかりか身長や体型まで尋海にそっくりになってるんだから。 それでもいつもと変わらない感じの尋海に安心もできて、僕の混乱も一時的にだとわかってるけど落ち着いてきた。 「ただいま~…」 そのまま尋海となんの実にもならない会話を交わしていると、死にかけている声が聞こえてきた。 『おかえり~』 二人の声が重なった。 リビングまで来た母さんは、僕たちの方を見て、そして動きが止まった。 437 名前:P90 ◆zxHMwgV2XM 投稿日:2006/09/10(日) 02 21 39.20 5m4QO5Mv0 「…っあ~、限界だわ…。本気で尋海が二人に見える……」 ツキ、と見逃してしまいそうな、だけど確かな痛みが走る。 「あのね、ぼくたち、女の子になっちゃったんだ」 仕事の時だけかけるという眼鏡を外しながら目頭を揉む母さんに、なんの前振りも無くいきなり核心を話す尋海。 寝不足の頭が必死に頑張ってるんだろう、母さんの目はじっと尋海を見て、そして僕のほうも見る。 三往復したところで、ようやく理解できたのか母さんは。 「『僕たち』ってことは、明は…?」 僕たちを見比べながらそんなことを聞いてきた。渋々僕が手を上げると、母さんはさらに驚いた顔になって。 当然の反応なのに、僕の気持ちは沈みこんだ。 「だけど、二人ともまだしてなかったなんて…」 そこを突かれると少し弱くて、僕たちは素直に謝った。 「いいのよ、下手に犯罪とかされるよりはっ。こうやって美人の双子の娘たちを手に入れられたんだから!」 豪快に笑って、母さんはあっさり許してくれた。 「って、あんたたち、いつ女の子になったの?」 突然態度を切り替えた母さんが真剣な面持ちで訊いてくる。 「今日起きたらもう…」 「それじゃあ!」 こぶしをぐっと握りしめていきなり大声を出した母さんに、僕と尋海は思いっきり引いた。 「まだ何にも用意できてないじゃない!!」 そんな大声で言わなくたってそれくらいはわかってるけど…。 「…よし! 尋海、着替えてきなさい」 「どうして?」 尋海の言葉。僕も聞きたいところだったけど、母さんが理由を話し出して、言うタイミングを逃した。 「買い物に行くからよ!」 438 名前:P90 ◆zxHMwgV2XM 投稿日:2006/09/10(日) 02 22 10.91 5m4QO5Mv0 それを聞いて納得したのか、尋海は階段を上っていった。 「なんで尋海だけ?」 さっきまでの半ゾンビ状態はなんだったのかと思うほどにいきいきしてる母さんに言ってみた。 「ほんとは3人で行きたいんだけどね。ほら、尋海はほとんど変わってないけど、明はすごい変わったでしょ?」 だから僕たちが並んで歩いてるのを知り合いに見られると、色々面倒なことが起きる、と母さんは言った。 「この面倒は避けられないけどね…。準備が終わる前にわざわざ飛び込むことも無いでしょ?」 僕を気遣う、間違っていない母さんの言葉に頷くことしかできなかった。 「じゃ、行ってくるわね」 着替えてきた尋海と母さんは出かけていった。 そろそろ寒くなってきたし、尋海のノーブラがばれないための厚着も不自然じゃないと思う。 リビングで一人、尋海の格好を思い出していると、急に独りだということを意識しだしてしまった。 自分を取り囲む環境は何も変わっていないのに、自分だけが変わってしまって…。 まるで僕だけが世界から弾き出されたような錯覚が、足元から忍び寄ってきて、自然と呼吸が速くなる。 ――おちつけ自分…っ。 わざと限界まで吸った息を、何秒も何秒もかけて吐き出すと、少しだけ気分が楽になってくる。 そのおまじないをして、不意に昌俊のことが思い浮かんだ。 「昌俊は………」 そこまで口にして。だけど自分でも何を言おうとしたのかわからないまま、もやもやした何かが胸の中にわだかまる。 その理由をどうしても見つけられずに、僕はもう一度深呼吸をして、ソファに横になった。 早くに尋海に起こされて寝不足だったのもあるし。それに…、ぐだぐだとくだらないことしか考えられない頭を止めたかったから……。 492 名前:P90 ◆zxHMwgV2XM 投稿日:2006/09/10(日) 12 40 31.09 5m4QO5Mv0 ―――ガチャ――― 空気が動く感じがして、僕は目を覚ました。 「開いてるし……。おじゃましまーす」 母さんめ…鍵かけないで出かけて行ったな…? 返事も待たずに勝手に入ってきた足音の主は、廊下を抜けて、そしてリビングに来たところで歩みを止めた。 こんなふうに入ってくるのは一人しかいない。 もう10年以上の付き合いだから、ある程度は信頼してるし、今更誰も注意したりしな……。 「なんだ、尋海だけなのか?」 何かが、壊れる音がした。 「あいつは、どこ行ってるんだ?」 キョロキョロ見回しながらの昌俊の声が、こんなに近くにいるのに、フィルター越しのように聞こえてくる。 「あいつ…って?」 「尋海の弟だよ」 尋海の弟は…僕だ。今、おまえの目の前にいる『明』なのに……。 「いまは、出かけてるみたい」 いつから昌俊は僕の名前すら呼んでくれなくなった…? 「『アキちゃん』、に何か用でもあるの?」 どうして僕は尋海の口調を真似ているんだろう…? 「いや、別に何もないけどさ」 やっぱり、だよね。昌俊の中では、『僕』にはほとんど価値なんか無いんだよね…。 「尋海? どうかしたのか?」 「なんでもない……」 「そんな変な顔色して、なんでもないってことないだろ」 両方の肩を掴まれて、無理やり上を向かされる。 そんなに心配するのは尋海だから、だろう? 「女の子になっちゃったのが、ちょっとショックで…」 何に傷ついてるかなんて知られたくなくて、自分から体の変化を明かした。 493 名前:P90 ◆zxHMwgV2XM 投稿日:2006/09/10(日) 12 41 08.82 5m4QO5Mv0 「お、んな…って、おまえ、女体化しちゃったのか!? …だけど、あんまり変わってないな、可愛いまんまだ」 僕は、こんなにも変わってしまったのに、昌俊はまったく気づかない。 ――……違う…。 昌俊の中では、ここには『明』は存在してないんだ……。 ずっと、ずっといっしょにいたのに…、こんなに穴だらけの演技なのに……、僕が明だとは思いつかない昌俊。 それほどまでに僕は必要とされていない、と突きつけられた気がした。 「でも女になったってわりに胸の方は…」 「帰って」 必死に、それだけ紡ぎ出せた。 「今日は、帰って!」 あまりの剣幕に面食らった昌俊は、それでも僕――尋海のそばから離れようとしない。 「帰って! 帰ってったら!!」 「落ち着けよ。いきなりどうしたんだ?」 手首を掴まれて、抵抗が止められる。力がまったく及ばなくなってることにさらに恐慌が深まっていく。 「放してよっ!」 こんな顔、見られたくないのに…っ。 494 名前:P90 ◆zxHMwgV2XM 投稿日:2006/09/10(日) 12 41 39.48 5m4QO5Mv0 だだをこねるように、ぶんぶんと手を振り回して、でもそれは昌俊に止められてしまう。 「こんなになってる奴を放って帰れって言うのか?」 真剣になった昌俊の声に一瞬嬉しさが湧いて。だけどその言葉は一つも僕に向いていないことにどこまでも深い悲しみに覆われた。 溢れそうになっていた涙を、もうこらえていることはできなかった。 「……っふ、…ぇ…」 情けないしゃくり声も出てしまって、いっそここから消えてしまいたくなる。 ――…それもいいかも……。 僕を僕だと、誰もわかってくれてない。尋海の顔をしているのは尋海だけで十分なんだから…。 「…………っ…」 困惑したような、昌俊の小さすぎる声が聞こえたけど、何を言ったのかわからなかった。 次の瞬間、突然引き寄せられて、気づけば僕は昌俊に抱きしめられているかのような体勢になっていた。 まだ状況が理解できないうちに、僕は昌俊にあごをすくいあげられて。 そして唇をふさがれた。 「――――っ!?」 意味がわからなかった。 頭の中が真っ白になって、何も考えられない。 どうして、どうして、どうして??? それでも唇が離されて、至近距離で昌俊の顔を見た瞬間、今まで感じたことのない強い感情に支配されて。 僕は思いっきり昌俊の頬を殴って、自分の部屋に駆け込んだ。 昌俊が僕を追ってくることはなく、玄関が閉められる音を僕は自分の部屋で聞いたんだ…。 330 名前:P90 ◆zxHMwgV2XM 投稿日:2006/09/15(金) 23 40 46.72 mkRdmMDl0 『双子』(←まだ題考えてない)超大まかなあらすじ 似てない双子で外見かわいい、中身人望有りとともに良しの兄『尋海』と、それにコンプレックスを感じていながらも、 幼馴染の『昌俊』の言葉のおかげでそれを乗り越えて、普通に生きていた弟、『明』(主人公) けれども、ある夜、同時に女体化現象に襲われる兄弟。尋海の方は外見的には大した変化はなく、そのままの美少女になる。 しかし明は違った。あくまでも十人並みだった外見が、尋海そっくりに変わってしまっていたのである。 次の朝(日曜日)。夜通しの仕事から帰ってきた母親に事情を説明。 あまりに変わってしまったため、準備が終わるまで外に出ない方がいいと母親に言われた明を残して、 兄弟の分の買い物に母親と尋海が出かけていった。 こっから再投下するつもり 336 名前:P90 ◆zxHMwgV2XM 投稿日:2006/09/16(土) 00 03 47.16 CePGn0150 次の日の月曜日、学校での出来事は語るに落ちる程度のことだった。 みんな、誰もが僕が女の子になってしまったことよりも、僕が尋海そっくりになったことに興味を持った。 『わぁ~、本当に双子になったみたい』 『尋海くんそっくりでかわい~!』 『なあ、ちょっと3組まで行って並んでみてくれよ~』 休み時間という休み時間、毎回同じようなことだけを繰り返されて、心が凍り付いていくのがわかった。 ようやく僕が返事をする気がないと理解したのか、放課後になった今はみんなさっさと思い思いの場所へ散っていく。 僕も、いつもならすぐに尋海のクラスまで向かうんだけど、自分の席からどうしても立ち上がることができなかった。 昌俊は尋海と同じクラスで、尋海に会いに行くと、必然的にあいつとも顔を合わせることになってしまう。 ――そんなこと、できるわけがない…。 僕と尋海が女体化してしまったことは伝わってないはずないけど、幸いにも昌俊は僕の前には現れなかった。 ――いや、やっぱり…って言うべきなのかも…。 あんなに可愛い尋海が女の子になったんだから…、余計に僕に気を回すことなんかないもんね…? そうだよ。だから昨日、僕を尋海と間違えてあんなこと……っ。 「って……あれ?」 昌俊は『アレ』を尋海にしたつもりなんだから、いっしょにいる尋海はかなり危ないんじゃないか? それに気づいて、僕は教室を飛び出した。 尋海に手を出されるのをむざむざ見逃すことなんかできないし。 …それに昨日のあのことを、間違えて僕にしたんだと昌俊にばれたくなかったんだ……。 337 名前:P90 ◆zxHMwgV2XM 投稿日:2006/09/16(土) 00 04 35.12 CePGn0150 廊下を歩いていく間、何人にもちらちらと見られるのがわかったけど、そんなのに構わず、僕は尋海の教室の前まで来た。 だけどいつものように教室の扉を開けることは躊躇われた。 もし、もう昌俊が話してしまっていたら…。 それに今は昌俊に軽口を言われても、冷静に受け止められる自信が…無い。 ――やっぱり、帰ろうかな…。 気持ちが負けてしまって、扉にかけた手が落ちてしまう。 それでも踵を返しかけた僕は、中から聞こえてきた声に足を止めた。 「尋海…、今日はあいつ、来ないのか?」 昌俊の、声だ。 「ね、アキちゃん、遅いね」 続いて尋海の声も聞こえてきた。 3人で帰るのが、習慣になっているけど、実際僕は昌俊にいっしょに帰ろうと言われたことはない。 昌俊が尋海を誘って、それに僕は監視役のようについて行ってるものだと思っていた。 だけど、昌俊も少しは僕のことを気にしてくれていた。 昌俊の目は全部尋海に向いているとしても、その中から僕の存在を消さずにいてくれた。 たったそれだけのことなのに、とても嬉しい…。 「ごめん。掃除当番で遅くなった」 さも今来たように。今の会話なんか聞いてないように装って、教室の中に入り話しかける。 昌俊は僕の姿を見て、目を見開いて。けどやっぱり何も言わずに、いつもみたいなセリフを吐いた。 「でも、遅刻は遅刻だしな~」 それだけで…十分だった。 202 名前:P90 ◆zxHMwgV2XM 投稿日:2006/09/18(月) 13 53 08.25 jLuPMnlO0 『はっきり言わなくても尋海は可愛い』 前も同じことを言ったけど、そのとき尋海は男だった。 そう、だから『そういう意味合い』で進んで尋海に声をかける男はいなかったんだ。 だけど今、女になってしまった尋海はかなり声をかけられるように……なっていなかった。 聞くところによると、男子の間で変な不可侵条約が交わされているらしい。昌俊がこの間の帰り道に、尋海に聞こえないように教えてくれた。 僕たちが3人で帰る習慣は…まだ続いている。昌俊がくだらない冗談を言って、僕がそれをたしなめ、それを見て尋海がニコニコ笑う…。 こんなふうに変わらない日常が続く。願っていたけど、本当にそうなるとは思ってなかった。 でも、確実に僕の日常は変わっていた。 「付き合ってください」 もう幾度目かになるその言葉に、内心溜息を吐きながら僕は同じ質問をする。 「どうして?」 この言葉だけで簡単にそいつらは言葉に詰まる。 「理由も言えないような人と付き合えると思う?」 さらにそう問うと、そいつらは決まって気まずそうに目を逸らす。 ――理由は…わかってるけど……。 さすがにこれ以上追いすがっても無駄なのがわかったのか、僕が背中を向けて歩き出してもそいつは何も言ってこなかった。 203 名前:P90 ◆zxHMwgV2XM 投稿日:2006/09/18(月) 13 53 42.36 jLuPMnlO0 尋海は、可愛い。弟(今は妹だけど)の僕から見ても、絶対に傷つけたくないと思わせるほどに。 だから、あいつらは同じ姿になった僕に告白してくる。 尋海の…代替品として…。 『やっぱ…、3組の三枝と同じ顔だから…』 最初に僕に告白してきた奴が、僕の質問に長考したそう答えて、ああやっぱりと心の中が冷たくなった。 そういうことを言ったのはそいつだけだったけど、みんな同じなんだろう。 大事なものほど壊れてしまうのが怖くて、手も出せないし中々使うことができない。 でもそれの形だけは同じのイミテーションがあったら……それで我慢しておこうと考える人は少なくないと思う。 そのイミテーションとは…僕のことだ。 尋海のことをどうこうするのは気が引ける。それじゃあ、どうすれば……と考えて、僕に告白してくるんだろう。 告白されるたびに、おまえのことは大事じゃないと同時に言われて、むなしさが積み重なっていく。 外見に惹かれてるわけであって内面はどうでもいい。 この、尋海そっくりの見ためだけに価値があって、僕自身には何も惹かれるものはない。 自分でもわかってることなのに…。 ――わざわざ何度も思い知らせることはないじゃないか…っ! 自然と速くなった足に気づいて、僕は一旦立ち止まって、肩の力を抜こうと深呼吸をする。 「ん? こんなとこで何やってんだ?」 突然後ろからかけられた声に、僕はぎくりと体を弾ませた。 204 名前:P90 ◆zxHMwgV2XM 投稿日:2006/09/18(月) 13 54 14.03 jLuPMnlO0 「昼休みなんだし…別にどこにいても不思議じゃない」 「でも体育館にいるなんて、おまえにしちゃ珍しいだろ?」 確かにそうだ。というよりも昼休みに自分から体育館に来たことなんか僕は一度もない。 そんなふうにそこで話していたのが災いした。 僕に告白してきた奴が後ろから追いついてきたんだ。 「あ……」 そいつは僕と昌俊を交互に見て、そして逃げるように出口から走っていった。 なんか…もしかして……。 「まさか…告白でもされてたのか~?」 からかうような昌俊の言葉に、いつものように反応することはできなかった。 「って…マジにか?」 黙りこんだ僕に、滅多に出さないような真剣な声で昌俊が聞いてくる。それに頷くと、昌俊はさらに訊いてきた。 「断ったのか?」 「そんなのは当たり前だろ」 僕が女になる前は一度も話したことがない上、外見に釣られてきたような奴と誰が付き合うんだ。 「それに、昌俊といるところを見て、勝手に誤解してくれたみたいだし」 そのおかげで、後々になってやっぱり納得がいかないと突っかかってくるようなこともないだろう。 「ごかい……ごかいねぇ~…」 ぶつぶつと呟く昌俊。教室に帰ろうと、その横をすり抜けようとしたところで、僕の耳に信じられない言葉が届いた。 「別に全校生徒に誤解されてもいいけどな、俺は」 378 名前:P90 ◆zxHMwgV2XM 投稿日:2006/09/19(火) 01 54 07.43 wEGf5Frr0 204の続き 足が止まる。 「なに…言ってんの?」 壊れかけたおもちゃのように、ぎこちなく昌俊を見上げると、いつも僕にだけ見せる何かを企んでるような笑顔にぶつかった。 「ん? まんまの意味だけど」 だから…っ。 「なんでそんなこと、言うんだ?」 声を荒げそうになってしまって、だけどそれを抑えて普通に聞こえるように声を出す。 昌俊に動揺してるなんて悟られたくなかった。 「なんでだと思う?」 ニヤけた顔のまま聞き返されて、僕は言葉に窮した。 またからかってるだけだと、僕の反応を見て面白がってるだけだろうと言ってやりたいのに、なぜかそれを口に出すのは躊躇われた。 「なんで、なんだ?」 「なんでだろうな~?」 だからもう一度訊いたのに、鼻歌のように変な調子を付けたその言葉を残して、昌俊は僕に背中を向ける。 そしてそのまま僕を置いて歩き出した。 ――……いつも…そうだ。 昌俊は、僕のことを待ったりしない。あいつの目は、決して僕を見たりはしない。 尋海という接点がなければ…、僕が追わなければ……、こうして簡単に距離が開いていく。 「ま………」 それが……嫌なのに…。 呼びかけた名前は喉で止まってしまって、僕は昌俊の背中を見ているだけしかできなかった。 379 名前:P90 ◆zxHMwgV2XM 投稿日:2006/09/19(火) 01 55 14.30 wEGf5Frr0 HR終了とともにクラスの全員が動き出す。その波に乗って、僕も教室の外まで来たんだけど……。 ――どうするかな、これから。 いつもなら尋海のクラスに行っていっしょに帰るんだけど、今日尋海は学校を休んでいる。二ヶ月に一回はなぜか尋海は熱を出すんだ。一日で治るけどね。 色々考えて、結局一人で帰ることにする。前に尋海が休みだった時も、そうだったし…。 そうして玄関に行こうと体の向きを変えて…。 「ぅわっ?」 男子の制服の胸の部分にぶつかってしまった。 「ごめんなさ……っ」 「よっ」 ほとんど脊髄反射の速度でそいつの顔を見上げていた。 「な……え…? 昌、俊…?」 異常なほどの晴れやかな笑みの昌俊が目の前にいる。 ――なんで…? 「尋海は…今日休みだぞ」 「同じクラスなんだから、そんなことわかってる」 じゃあ、なんで昌俊はこんな所にいるんだ…? 僕のクラスに来るなんて、今まで一回もなかったのに…。 僕の疑問のまなざしに、昌俊は何か満足そうに頷く。そしてなんとなしに周りを見回して…。 「付き合ってる奴を迎えにくるくらい普通だろ!?」 ざわっ…と僕たちの周りがどよめいたのがわかった。 「やっぱ、こんなに可愛い奴を一人にしとくのはしんぱ……」 「ちょっと来い!!!」 さらにたわ言を続けようとする昌俊の腕を掴んで、渾身の力で引っ張っていく。これ以上ここにいることなんてできなかった。 380 名前:P90 ◆zxHMwgV2XM 投稿日:2006/09/19(火) 01 55 45.45 wEGf5Frr0 「いきなり何言ってんだ!」 校舎の中でも奥まった場所にある階段の踊り場。そこまで昌俊を引っ張ってきて、開口一番僕はそう叫んでいた。 「しかも…っ、あんなっ…でかい声で!」 少なくともあの時廊下にいた全員に昌俊の声は届いていたはずだ。 そのことを考えると眩暈を感じる…。 「俺、言っただろ? 全校生徒に誤解されてもいいって」 「だからって…!」 心にもないことを言って、その反応を楽しむなんてただの悪趣味じゃないか…っ! 昌俊にとってこれはただの冗談のつもりなんだろう。だから、だからこそ、無性に腹が立った。 「わかった。おまえ、今からさっきあそこにいた人全員に謝って来い」 冷静を通り越して、非情なほどに冷たい声で僕は昌俊に命令していた。 「ごめんなさい。自分が言ったのはただの冗談です。真に受けないで下さい、って頭下げて来い」 「……なんで、そこまで怒ってんだ?」 いっそ殴ってやろうかと、本気で思った。 自分がどれだけ僕のことを傷つけているなんてわかろうともしない。 実際は大して見向きもされていないのに、他人からは付き合っていると思われる…。そんな惨めなこと、誰が耐えられるか…っ! 「そこまで嫌がられると、俺もショックなんだけど…」 不意に、本当に傷ついた昌俊の声音が聞こえてきた。 「じゃあ、最初からこんなこと言わなきゃ良かっただろ」 「ま、そうなんだけどさ~……。なあ、本当に付き合ってるってことにしないか?」 まだ同じ事を繰り返す昌俊に、瞬間頭に血が上って、手を振り上げていた。 けれどもそれは僕の手首を掴まれたことで阻まれる。 381 名前:P90 ◆zxHMwgV2XM 投稿日:2006/09/19(火) 01 56 23.50 wEGf5Frr0 「放せっ!」 「俺もさ、実際知り合いが告られてるシーンなんて初めて見たけどさ~」 僕の言葉をまるっきり無視して、昌俊は手首を掴んだまま話し続ける。 「な~んか気持ちいいもんじゃないんだよな~」 どこまでも身勝手なセリフなのに、僕は抵抗するのをやめていた。 「だから、俺と付き合え」 どこに『だから』がかかったのかわからない。 なんで昌俊がここまでこだわるのか、なんて僕には理解できない。 でも、多少なりとも僕に執着してくれてるんだ…。 「……………わかった」 長い沈黙の末、一言だけ昌俊に返す。 未だに握られてる手首から、ピクリと昌俊の手が動いたような感触が伝わってきた。 「…おお。……やっぱこんなに可愛い顔がしおらしく言うとクルな」 ――――ピシッ―――― また、何かが壊れる音がした…。 『顔』 そう…昌俊は言った。元々は、僕が持っていなかった物…。 尋海と、同じ、顔…。 また、言われてしまったんだ。『おまえなんか大事じゃない』と。 382 名前:P90 ◆zxHMwgV2XM 投稿日:2006/09/19(火) 01 56 57.10 wEGf5Frr0 ――…やっぱり、そう…なんだ……。 今まであった感情が、もう思い出せない…。 どこまでも…どこまでも僕は、必要とされていない。誰も…僕を見てくれない。 ずっと、小さい時からいっしょにいた昌俊まで…、尋海のことしか見ていなかった。 …いや、そんなのはわかってた…。けどそれを認めたくなくて…、二人がいるところに、僕が入っていっていただけなんだ。 「どうし…!?」 僕の顔を覗きこんだ昌俊は言葉を切って、ぎょっとしたような顔になった。 「なんで泣いてるんだ?」 正直に答えたら…おまえはどんなふうに思うんだ…? 「泣き止めよ…。『おまえ』の泣き顔を見るのはキツい…」 痛ましいという顔で、僕の頭を抱きしめてくれる。……昌俊、おまえの言う『おまえ』は……誰のことなんだ? 僕……それとも……。 「…ぅっ、えッ……」 ただただ溢れてくる涙は、昌俊の制服に吸い取られていく。 こんなに苦しいのに…こんなに胸が痛いのに…、僕はどうしてもできなかった。 昌俊と付き合うことを、拒否することを…。 「…………ぇっ……」 たった今、自覚して、その瞬間にはもう終わってしまっていた感情。 それを想って、僕は声を殺して泣き続けることしかできなかった。 決して僕のものになってくれない、大好きな奴の胸の中で……。
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462 名前:P90 ◆zxHMwgV2XM 投稿日:2006/09/12(火) 23 18 19.35 xW9Sv99Q0 「吉田、明日どっか行かないか?」 「どっか、って…またアバウトな提案だな」 放課後でざわざわしてる教室の中、佐瀬がいつものように話しかけてきた。 「別に行ってもいいけど、どこに行くんだよ?」 「そこで行かないって言わないよっぴーったら、本当にカ~ワ~イ~イ~」 うん。うざいしキモいね。 というか、よっぴーって呼ぶな。俺は認めた覚えはない。 「ここにあるものは何か分かるか?」 俺の苦情には答えるつもりはないらしい佐瀬が取り出したのは、2枚の小さな紙。 よく見えないけど、水族園…のチケットか? 「そう、明日の創立記念日にここ行こうぜ」 「……わかった」 やれやれという感じを装いながら佐瀬の提案に頷くと、佐瀬は無邪気に笑って俺を見ていた。 会話だけ聞いてると男同士。だけど実際はそうじゃない。 佐瀬とは高校の入学式の、なぜか前日に出会った。……ああ、そうだよ。素で入学式の日を間違えたんだよ。 でもそんなバカしたのが俺だけじゃなくて、もう一人いたわけだ。 そんなことがあったおかげで、俺と佐瀬は入学当初から仲が良かった。 ちょっと変なところもあるけど基本的にいい奴の佐瀬といるのは楽しくて、学校ではほとんど佐瀬といっしょに過ごしてた。 だけど、そんな楽しい生活もすぐに崩れ去ってしまった。 464 名前:P90 ◆zxHMwgV2XM 投稿日:2006/09/12(火) 23 18 49.92 xW9Sv99Q0 『女体化』 まだ未経験だった俺は、なんの心の準備もなくその現象に襲われた。 あれは、驚く…ってもんじゃないな。鏡見て、腰抜かしたのなんて生まれて初めての経験だった。 それでもすぐに状況を認められたのは自分でも不思議だったけど、最初から俺はそういうのに疎かったんだろうってことにしといた。 何か、それ以上考えてはいけないような気がしたから……。 それはともかく、女体化者の例に漏れず、俺もけっこう可愛い方に入ると思う。でも自分だと思うとどうしても実感はない。 なのに、なんでそう認識してるかといえば、顔さえ良ければいいという腐れがこの世(学校)に多く生息してたせいだ。 『あーもーっ、あいつらうざい!!!』 自分の席に突っ伏して、女体化してからたった一週間で口癖になってしまったセリフを吐く。 はっきり言って、男はバカだと思う。俺だって元男だけど、マジでそう思う。 告白の理由の9割方が『顔が好みだから』っていうのは明らかにおかしいだろ!? しかもだ。こんな小さい女(俺のことだ)を待ち伏せするっていうのはどういう了見なんだ? その時は運良く股間蹴って倒れたところを、さらに集中的にメッタ蹴りして逃げることに成功したけど。 『じゃあ、俺と付き合ってるってことにしとくか?』 そんな俺を心配したのか、これは佐瀬が提案してきたことだった。 そうすれば言い寄られることも少なくなるだろ、という意味合いを含んだそれを俺は二つ返事で承諾して。 あの日から俺と佐瀬は公認カップルと見なされるようになった。そのおかげか、俺へのちょっかいも激減。 そして俺は学校にいる間中、佐瀬にくっついていられる権利も手に入れられた。 そんなことになぜか喜んでいる自分に疑問もあったけど、親友と変わらない付き合いができるって答えを持ってきたらしっくりはまった。 女子たちに、『女の子になったんだから、恋人でもない男とべたべたしちゃ駄目だよ』と言われたこともあったからな。 465 名前:P90 ◆zxHMwgV2XM 投稿日:2006/09/12(火) 23 19 26.75 xW9Sv99Q0 まあ、そんな感じの校内限定偽装恋人という関係になってる俺たちだけど、そういえば外で遊ぶのは久しぶりだ。 「つか、これ…デートってことになるのか……?」 明日に備えて早めに入ったベッドで急にその疑問に襲われた。 あれ? 学校では恋人ってことになってて…? でも実際は付き合ってないわけだし……遊びに…? でもそれじゃあ、恋人ってことになってる教室で誘ったのは何でだ? 深く考えれば考えるほど沼に沈んでいきそうなこの疑問を俺は早々に投げ出した。 答えを出すのが面倒だったのもあるし、何か嫌な予感がしたんだ。 俺の価値観が丸ごとひっくり返ってしまいそうな自覚が生まれてしまいそうな嫌な予感が……。 564 名前:P90 ◆zxHMwgV2XM 投稿日:2006/09/13(水) 16 01 32.00 fprL38Ud0 465の続き 結局ぐっすりと寝て起きて、俺は遅れないように待ち合わせ場所に向かった。 初めて行く場所にしては迷わずに行けた気がする。 なのに、現地集合って言い出した奴がまだ来てないっていうのはどういうことだ? 『悪い、いま電車降りたとこ』 着いたときに佐瀬はいなくてメールを送ったら、こんなのが返ってきた。 あと10分くらいか……。 そう思って、植え込みのところに腰を下ろした俺は、突然肩を叩かれて体を硬くした。 そうだ、学校で無くなったから油断してたけど……。 恐る恐る後ろを振り向くと、そこには。 「ごめんな、遅れた」 「…え? な、今、メール…?」 俺はまだ携帯をしまってすらいないのに、いきなりメールの相手が現れてかなり呆気に取られてしまった。 「ああ、ごめんごめん。送りそびれてたのを、さっきメールきた時に間違って送ってた」 「あ、そ…なのか…?」 まだ驚きから回復できずにいた俺は、佐瀬のよくわからない理由説明に気の抜けた返事をしてしまった。 だから危うく気づかないところだった。佐瀬の怪しい手の動きに。 「今日はスカートなのか」 「…ああ、ってナニやろうとしてんだっ!?」 下から忍び寄ってきてた手を本気で叩き落とす。 「ちっ」 そこ、聞こえてるぞ。 「ったく、なに小学生レベルのことしようとしてんだか…」 いや、今時の小学生もこんなことはしないだろうから、下手すると幼児レベルか? 俺が叩いた手をぷらぷらさせながら、佐瀬はニヤニヤ笑いで。 「制服以外でよっぴーのスカート姿見るのなんて初めてだからな~。あまりの可愛さについふらふらと…」 「―――――っ!!」 突っ込むところだらけの佐瀬の言葉なのに、俺は何も言えずに、そして佐瀬に手を掴まれた。 565 名前:P90 ◆zxHMwgV2XM 投稿日:2006/09/13(水) 16 02 07.59 fprL38Ud0 「じゃ、ちゃっちゃと移動しようか」 俺の返事を待つことなく、佐瀬はずんずんと進んでいって。その速さに俺が苦心していると、佐瀬は急に歩調を緩める。 「なに…?」 「速すぎたな、ごめん」 振り向きながら佐瀬は俺の頭を撫でて、でも手は放さずにまたゆっくり歩き出して。 俺たちは水族館の中へ入った。 水族館というものに行くのは、何年ぶりだっけ。たしか最後に行ったのは小学生の時だったかな? 平日という事もあって、館内にいるのは子供が大半だった。ちらほらとカップルの姿も見えて、俺たちもそう見えてるのかと思うと少しだけ恥ずかしい。 けど、すぐにそんなの履きにならなくなった。 「お~! こいつ全然動かないぞ」 「佐瀬っ、佐瀬っ! ほら、亀、亀いるぞっ!」 「あ、サメ来たっ! っはは、でっかー!」 「くそっ、撮りそこなったっ! もっかい、もっかいこっち向け!」 「あ、あっちクジラいるって!」 ……冷静になって考えれば明らかに自分のテンションがおかしいのがわかる。 でもこのときの俺は本気の本気ではしゃいでた。それこそあいつおかしいんじゃないかと思われても仕方ないほどに…。 ノンストップであっちこっち見て回った後、俺はクリオネの水槽に張り付いていた。 数センチくらいの半透明の生き物がふよふよ浮いたり沈んだりするのをずーっと見ていて、なんとなく思い出したことを佐瀬に話しかける。 「そういえば、こいつらの食事風景ってグロ……」 途切れた言葉は誰に受け止めてもらえることなく地面に落ちた。 566 名前:P90 ◆zxHMwgV2XM 投稿日:2006/09/13(水) 16 02 40.85 fprL38Ud0 「さ…せ……?」 いない。ずっと、横にいたはずなのに……。 「……え?」 どこ…行った? 普通に考えればトイレかなんかだと思う。でもそれだったらなんで何も言わないでいなくなったんだ…? まさか…。 「…置いて、かれた……?」 口に出してしまってから後悔した。さっきまで浮き立っていた心の中に一気に不安が広がっていく。 そんなはずないと思うのに、自分がどれだけ佐瀬をそっちのけにしていたか自覚があるだけに、最悪の可能性を否定できない。 探しに行くべきなのか、ここで待てばいいのか……。 「……携帯っ!」 慌てて携帯を取り出して、電話をかける。10回くらいコール音が鳴って、留守番電話の無機質な声が聞こえてきた。 「…なんで?」 電話に出るつもりもないくらい、怒ってるのか? 何も言わずに消えてしまうくらい……。 「悪い悪い、待たせたな」 一番聞きたい声が後ろからかけられた。 「トイレ行った後、飲み物買ってたら遅くなった」 そっちの方を見て、佐瀬の変わらない笑みを認めた瞬間、緊張の糸が切れた。 「ちょっ、おい!? どうしたよ?」 ぼろぼろと溢れてくる涙を見られたくなくて、佐瀬の胸に顔を押し付ける。 いきなり泣き出した奴の相手なんて、ただ面倒くさいだけなのに…、佐瀬は何も言わずに俺の頭を抱いてくれた。 両手に飲み物を持った状態だから、佐瀬は間抜けな体勢になっていたけど…。 それでも俺は嬉しかった。 689 名前:P90 ◆zxHMwgV2XM 投稿日:2006/09/14(木) 00 05 29.69 o0WAaycv0 566の続き 「……で? つまり吉田は、俺が愛想尽かして先に帰ったと思ったわけか?」 佐瀬に連れられて移動したベンチで俺は頷いた。 座って、佐瀬が持ってきてくれたジュースを飲んだら落ち着いてきて、何で泣いてしまったか話したんだけど…。 ――…情けない上に恥ずかしい…。 横に座る佐瀬の顔を見ることなんかできずに、俯いていると横の上のほうから溜息が降ってきた。 「つか、俺ってそんなに信用されてなかったんだな?」 加えて冷たい声も耳に届いて、俺は体を竦ませた。 「……違っ…」 「違わないだろ? ちょっとくらい放っとかれたくらいで怒って帰るような器の小さい男だって言われたのと同じだしな~」 そう言われて初めて気がついた。 自分が、どれだけ佐瀬に対して失礼な事を言ってしまったのか…。 「でも…っ、…でも……」 それは、ちがくて…、ただ、佐瀬がいなくなったと思ったら、すごく悲しくて…、どうしたらいいのか、わかんなくなって……。 自分でもぐちゃぐちゃで、よくわからないこの感情をうまく言葉にできない。 何かを言わなければと焦るのに、俺の口は力なく「でも」と呟くしかできなかった。 「………………なんてな。これくらいにしとくか」 え……? 突然に変わった声のトーンに戸惑う。 「せっかく来たんだから、楽しんでもらえてるみたいで俺も楽しかったし、別に怒ってないぞ?」 「だっ、て…今……」 あんなに冷たい声で、俺のことを責めてたじゃないか…っ。 「ああ、あれ? ちょっと拗ねてた」 拗ねてた? 690 名前:P90 ◆zxHMwgV2XM 投稿日:2006/09/14(木) 00 06 03.83 o0WAaycv0 佐瀬に似合わない単語が出てきて、俺は首をかしげた。 「あんな可愛い笑顔をさ~、俺じゃなくて、ましてや哺乳類ですらない魚類がさせてんのかと。というより、俺といるより魚見てた方が楽しいのか、とか色々考えてな」 意外だった。 佐瀬がそんなことを考えてるなんて、思ってもみなかった…。 「ま、見入ってる吉田にちゃんとトイレ行くって伝わってるか確認しなかった俺も悪かったしな」 「……がう、ちゃんと聞いてなかった俺が悪かったんだ…」 その挙句、勝手につまらない勘違いをして、その上佐瀬を不愉快な気分にさせてしまった。 あまりにも自分が情けなくて、どれだけ自分勝手なのかわかってしまって……。 今すぐここから消えてしまいたい。 そんな気持ちから、俺が悪いんだと繰り返していると、また溜息を吐かれて体が震える。 「じゃあ、そんなに気にしてんなら、吉田が俺の言うこと1個だけ何でも聞くっていうことで手を打たないか?」 俺がこのことをこれ以上引きずらないように、という佐瀬の提案に、俺は無言で頷いた。 「え? マジ……か?」 俺が怒るような反応を予想してたんだろう佐瀬は、ハトが豆鉄砲を食らったような顔で同じ事を訊いてきて。 そして俺はまた頷く。 「…いいのか?」 「しつこい」 何度も聞かれていい加減口から出てしまった。 「わかった」 691 名前:P90 ◆zxHMwgV2XM 投稿日:2006/09/14(木) 00 06 36.52 o0WAaycv0 短い佐瀬の言葉。 それ以上佐瀬は聞いてくることはせずに、もう少しだけ休んでから、今度は落ち着いて二人で色んな水槽を見て回ることにした。 一人で舞い上がってる時も楽しかったけど、佐瀬といっしょにゆっくり歩いているだけで、じんわりと何かが胸にしみこんでくるような、不思議なあったかさがあって。 幸せ度数で言ったらこっちの方が圧倒的だと、意味もなくそんな度数を決めていた俺だった。 俺があんな条件を飲んだ理由は一つ。 『こんなに俺のことを考えてくれる佐瀬に、何も返さずにいることなんかできない』 その一心から佐瀬の出した提案を受け入れた。 ………わけなんだけど、もしこの後俺がさせられることをわかっていたなら。 もし俺があの時一瞬だけ佐瀬が見せた意味深な視線の意味に気づいていたのなら。 それ以前に、もっとこの条件について深く考えていたなら…。 どんな手を使ってでも、それを回避しようとしていただろう事はここで言わせてもらう。 そうじゃなきゃ、俺がただの変態みたくなってしまうからな。 63 名前:P90 ◆zxHMwgV2XM 投稿日:2006/09/14(木) 21 30 24.55 o0WAaycv0 そうしてほとんどの場所を見て回って、俺たちは最後に水族館のおみやげ屋に来た。 正直言えば買うつもりなんかない冷やかしで色んな商品を突きまわして遊ぶ。 すると突然目の前に何かを突きつけられて俺は上半身を仰け反らせた。 「これやる」 ラッピングされた小さな袋を手渡されて少しだけ困惑する。 「なに、これ?」 「プレゼント」 首を傾げつつ袋を開けると、プラスチックでできた小さなラッコのストラップが出てきた。 「なんで…?」 なんで、プレゼント…? それに、どうして俺がラッコが好きだってばれてるんだ? 「よっぴーが一番熱心に見入ってたのがラッコだったからな」 その名前で呼ぶなと突っ込みながら、ああ、そうかと納得し……って、待てよ? ラッコの水槽に行ったのは、二人でゆっくり回ってる時。 つまり…俺がラッコを見てるとき、こいつは俺のことをずっと見てたってことで…。 しかも、しかもだ。俺の反応の違いがわかるくらいに他の所でも佐瀬は俺の様子を見てたってことになる。 その事に気がついて、顔が熱くなる。 色んなことを言いたいのに、佐瀬の顔を直視することすらできない。 「ぁ…りがと……」 だから、やっと発せた俺の、本当に小さくなってしまった声でのお礼は、佐瀬に届いたかどうかわからなかった。 76 名前:P90 ◆zxHMwgV2XM 投稿日:2006/09/14(木) 22 28 29.18 o0WAaycv0 水族館を出てから、佐瀬と二人で駅に向かうことになった。 佐瀬とは高校からのいっしょになったわりには地元が近いから、これからそっちに戻ってから遊ぶつもりなのかと思ったんだ、 だから何も言わずに歩いていく佐瀬の後ろを何の疑問もなくついて行って。 切符も買ってくれて、ラッキーと思いながら、駅の中もついて行って。 そしてようやく何かおかしいと気づいたのは、帰るはずの線路の逆のホームに着いてからだった。 「佐瀬、こっち逆側だぞ?」 俺の言葉に反応しない佐瀬。 電車は俺たちがホームに着く直前に行ってしまったから、全くと言っていいほど人はいない。 だから移動するならまだ時間はあるんだけど、なぜか佐瀬は動こうとせずにいた。 「…あのさ、俺がさっき出した条件って覚えてるか?」 もう一度、場所を指摘しようとしたところで、そんなことを訊かれた。 その言葉に頷くと、奇妙なほどに真剣な声でさらに問われる。 「本当に、いいのか?」 あ~も~…。 「あのさ、いい加減しつこいぞ。俺は何度もいいって言ってるだろ」 「そうか……」 少しだけの沈黙。 その間、佐瀬の中では色んな葛藤が渦巻いてたんだと思う。 「じゃあさ…、俺がしてもらいたいこと、言うぞ?」 「おう。あんまり金かかんないなら何でもいいぞ」 ……今思えば、この俺の言葉が最後のきっかけになってしまったんだろう。 「『ちかん』させてくれ」 「………………………………………………………………はあ?」 153 名前:P90 ◆zxHMwgV2XM 投稿日:2006/09/15(金) 01 59 41.25 mkRdmMDl0 …えっと、今、こいつ何言った? 「ちかん?」 「そうだ」 「誰が?」 「俺が」 「誰に?」 「吉田に」 「何で?」 「してみたいから」 簡潔にして明瞭な一問一答。 …だめだ、ぜんぜんわかんない。 「ちかんは犯罪だぞ?」 混乱しまくった頭で、とりあえずよく聞くフレーズを口に出すと、佐瀬はそれに頷いた。 「ああ、だから『ちかんごっこ』みたいな感じで…」 ごっこ? 「なんだそれ?」 「だからな……」 そう言って、佐瀬は俺に説明を始めた。 触るのは絶対に服の上からだけ、俺が本気で嫌だと思ったらそこですぐに終了、絶対に周りにバレないようにする………。こんな感じだそうだ。 俺も元男なわけだし、こう、女の子に触りたいってところまではわかるんだけど…。 どうして電車でやる必要があるのか、まったくわからないぞ。 しかもそんな手癖がついたらどうするんだ? それを佐瀬に伝えると……。 「こんなことおまえにしか頼めないし、おまえにしかしたくない」 …そんなこと言うのは、卑怯だろう。 「あ、電車来た」 何も言えずにいるうちに、ホームに滑り込んできた電車に乗せられる。 こんな時間なのに電車の中はかなり混んでいて、それでも佐瀬は俺を入り口脇の角に配置して、自分はその前に陣取る。 席の脇は高くて、そして佐瀬も俺よりずっと背が高いから、俺はすっぽりと埋まってしまう感じになってしまった。 154 名前:P90 ◆zxHMwgV2XM 投稿日:2006/09/15(金) 02 00 23.92 mkRdmMDl0 「ほ、ほんとにやるのか?」 バカみたいに心臓の音が大きく聞こえてくる。 もう何に緊張してるのかさえわからない。 「ああ。運よくうるさいのもいるし」 確かに。よく見えないけど、逆の扉の所に女の子たちが固まって大声で話してる。 「あんなにうるさけりゃ、よっぴーが少しくらい声出てもバレないだろ?」 「な――――っ!!!」 何を言うんだ、と続くはずだった声は途切れさせられた。 佐瀬の顔が俺の肩辺りに来て…。 (やっぱり、いい匂いするな) 耳元で俺だけに聞こえる声で囁かれて、そのかすかな息が首筋にかかるだけでぞくぞくとした感覚が這い上がってくる。 ――なに、これ…っ…? (吉田? どうしたんだ?) ――だから耳元でしゃべるな…! 心の中で叫んだ言葉が通じたのか、佐瀬は顔を離した。 それに内心ホッとして、でも次の瞬間、俺はさらに体をはねさせた。 佐瀬の手が、俺の、し、尻に……っ。 俺が口をパクパクさせていると、その手が動き始める。 最初はゆっくりと撫でるようにして…。 手のひらの熱がじんわりと服の中にまで伝わってきて、感触に合わさってあのぞくぞくがひどくなってくる。 155 名前:P90 ◆zxHMwgV2XM 投稿日:2006/09/15(金) 02 00 56.08 mkRdmMDl0 ――…ぁっ!? 加えて指まで動き出して、息が荒くなってしまうのを隠せない。 あの大きな手の長い指が俺の尻の形を確かめるように這い回っている。 そう想像しただけで、さらに興奮してきてしまって、どんどん体の制御がきかなくなってくる。 「…ゃ……ぁ…」 何度も何度もしつこく往復する手に、ついに殺しきれなくなった声が口の端から漏れてしまった。 けど女の子たちの笑い声のおかげで周りに聞こえることはなかったと思う。俺の真後ろにいる奴以外には…。 (今の声……もしかして?) また耳元で囁かれて、体がびくりと動いてしまう。 (ちがっ…、そんなこと…っ) (そんなこと、ってなんだ? 俺、何も言ってないぞ?) (―――――っ!!!!) はめられたっ! 今俺が言ってしまったことは、自分から、佐瀬に触られて、気持ちいいなんてことをばらしてしまったも同然で…。 (もう、やだっ) 恥ずかしくて、体の向きを反転させる。 佐瀬と向きあうような状況になって、佐瀬の手は外れた。 (もう、やめっ! おしまい!) 小声のまま佐瀬の顔を見ずに主張する。 自分でもわかるほど真っ赤になってしまってる顔を見せられない。 これ以上されたら、どこかおかしくなってしまう…。 (……人間ってな、心と体がそれはもう密接にくっついてるもんなんだよ) 突然の意味不明な言葉に俺は動きを止められてしまった。 156 名前:P90 ◆zxHMwgV2XM 投稿日:2006/09/15(金) 02 01 31.32 mkRdmMDl0 (だからな、吉田が気持ち良くなってくれてるって事は、本気で嫌がってないって事だよな?) (そ…んな…!) 確かに、佐瀬に触られるのは全然嫌じゃない。 ――けど…っ、だけど……っ 俺の葛藤をよそに、唆すようなセリフを吐いた後、佐瀬は同じように手を動かし始めた。 そう。『同じように』だ。 (――――っっっっっっ!!!!!) 体を反転させたんだから、触られる場所も前後逆になる。 ふにふに、と体の正面からあの場所を探る動きに、体温が2、3度上がった錯覚すらあった。 (やっ……、さ、せ…ぇ…) もうぞくぞくとか言っていられないほどの波が襲ってきた。 やめさせたいのに、力が入らなくて、佐瀬の腕に手を添えるだけになってしまう。 「……ぁ、ぁっ……」 声も抑えられなくなって、体を丸めるように佐瀬に縋り付いてしまう。 前を押し付けるように撫でられることが続いて、頭の中がどんどん使えなくなっていくのがわかった。 なのにどうしようもなくて、佐瀬の手がスカートの中に……。 『七広~、七広~です』 独特のアナウンスに俺はハッとさせられた。 電車が止まると同時に佐瀬の手も止まって…、横の開いた扉から外に逃げ出す。 突然逃げ出した俺に、一瞬佐瀬が呆気に取られて、でも扉が閉まるぎりぎり直前にホームに降りてきた。 俺たち以外誰も降りなかったホームで、俺は佐瀬を見つめていた。 この、ぐちゃぐちゃになってしまった感情の、出口を求めるように…。 286 名前:P90 ◆zxHMwgV2XM 投稿日:2006/09/15(金) 22 07 17.10 mkRdmMDl0 156の続き 数歩離れた場所にいる佐瀬を俺はただ見つめる…。少しも動かずに、ただただ佐瀬の顔を……。 佐瀬も俺を凝視していて、時間が少しだけ止まった気がした。 でもそれは佐瀬が気まずげに目を逸らしたことで崩れる。 「………ごめん、悪かった」 ぐらり、と視界が揺れた。錯覚なんかじゃなく…本気で。 ――……俺、謝られちゃったんだ…。 そうか……、謝られなきゃ、いけないようなことを…されてたんだ…。 「やだ…って言った…」 「それは…」 「俺は、やだって言った!」 相反する気持ちが渦巻いて、普通を装うことすらできない。 佐瀬にとって、これはただの気の迷い、ちょっとした暴走……。 だから『つい』やってしまったことなんだ、と…。 だから合意の上だったのに謝る必要があるんだと突きつけられて…。 「俺が嫌がったら、やめるって言ったくせに…っ」 だけどこれも俺の言葉だ。こんな場所で、あんなふうに触られるなんて、やっぱり嫌だった。 「吉田……」 佐瀬が一歩近づいてきて、俺は同じだけ後ろに下がる。 なんでそこでおまえが悲しそうな顔をするんだ…? 「そこまで、嫌だったんだな…?」 頷くことも、首を横に振ることもできなかった。 「……………」 お互いに目も合わせられないまま、次の通過電車が風を起こしていく。 「帰る…か?」 ポツリと佐瀬が漏らして、俺もそれに同意する。 このままここに居ても、何の解決にもならない。自分の感情が何も見えてこない。 けど、ここで帰ると、何かが手遅れになってしまうような焦りも感じていた。 288 名前:P90 ◆zxHMwgV2XM 投稿日:2006/09/15(金) 22 07 58.22 mkRdmMDl0 階段を上がって、そして逆側のホームに下りる。もうすぐ電車が来るというアナウンスが聞こえた。 ちゃんと佐瀬と話したいのに、俺は顔を上げられない…。 こんな寂れている駅に、止まらなくてもいいのに電車は止まって…そしてそれに乗り込む。 「………え?」 なんで佐瀬、乗ってこないんだ? 『ドアが閉まります。ご注意ください』 無意識に俺は閉まり始めたドアの間から飛び降りていた。 幸い、どこにも引っかからなかったから、電車はそのまま走り去っていく。 「なっ…にやってんだこの馬鹿っ!」 怒鳴られて、体が竦むのと同時に、ほんの少しだけ嬉しくなる。 「だって…佐瀬が乗ってこないから……」 「そんな理由で……」 呆れたような溜息を吐かれた。 「あのな、吉田、今俺となんか居たくないだろ? だからおまえだけ先に帰そうと思ったのに…」 なんで降りてくるんだ、と佐瀬はもう一度溜息を吐く。 「俺に触られるのなんて、もうごめんだろ?」 自虐的な言葉で、俺に問いかける佐瀬。 ずきずきと胸が痛む…。 「好意につけ込まれて、あんなことされるなんて、いやだったろ?」 「………や…だった…」 口を開くと、佐瀬が息を飲んだような気配が伝わってきた。 「ほら…やっぱ…」 290 名前:P90 ◆zxHMwgV2XM 投稿日:2006/09/15(金) 22 08 30.26 mkRdmMDl0 「こんな場所で……、あんな遊びみたいに、ふざけてる…延長みたくされて、すごくやだった…」 大した理由もなく、佐瀬にされるのはすごく哀しかった…。 あまりにも重さの違う想いを実感してしまって、すごくつらかった。 「吉田…? それ、って…」 「気づかないで…いたかったのに!」 この不安の、悲しさの……、それなのに、ずっと佐瀬とくっついていたいなんて気持ちの理由なんてっ…! こんなに惨めな気分になるってわかりきってたのに…! だからいつも途中で深く考えるのを止めてたのに…。 「佐瀬は、一回試してみたかっただけなんだろ!? だったら…だったら、何で…」 なんで、俺で試したんだ…! もしされてなかったら、まだごまかしていられたのに。 いっしょにいれて嬉しい理由も、置いていかれたと思ってあそこまで泣きたくなった理由も、全部適当なところで納得できてたのに。 けど、もうそんなことできない…。 もう、自覚が生まれてしまったから。 「気づかないでいたかった、って…何をだ?」 いつ佐瀬が俺の目の前にきたのか、わからない。 しゃがみこんでしまいたいのに、両手首を掴まれた。 「なぁ…お願いだから、言ってくれ」 今の俺には、どこまでも残酷な要求が突きつけられる。 力なく首を振っても、強く握られた手首を放してくれない。 「なんでなんだよ?」 「…だって、いまさらおかしいだろ?」 「あ…?」 あんなに学校で男を嫌がってて、なのに今更…なんて、どんだけムシが良い話だ。 「俺の方のが…佐瀬を裏切ってたんだ……」 292 名前:P90 ◆zxHMwgV2XM 投稿日:2006/09/15(金) 22 09 12.29 mkRdmMDl0 俺のことを心配してくれて、それで…付き合ってる『ふり』をしてくれてる佐瀬を、無自覚のうちに裏切っていた。 「佐瀬は、俺のこと…そんなふうに思ってないのに…、俺は…っ」 もう、まともに話せなかった。 ボロボロと水が頬を流れていくのを感じる。 「……好きに、なっちゃったんだもん…」 誰が…とは言えなかったけど、佐瀬には伝わってしまったみたいだった。 両方の手首から、佐瀬の手が離れていって、体を切りつけられたような痛みが走る。 「…ごめん」 「っっ!!!」 やっぱり、そうだよな…。いきなり、こんなこと言われて…。 「ごめん、俺、卑怯だったな」 …え……? 「先に言われないと動けない。…俺の悪い癖だ」 自嘲するように笑って、瞬間、真剣な顔になって言葉を続ける。 「吉田が困ってるのにつけこんで、学校では付き合ってることにして、ずっといっしょにいられるようにした。俺のせいで泣いてたのに、それをいいことに条件出した上、こんなことして……」 一旦言葉を区切って、ゆっくりと息を吐く。 何を意図してるのかわからないそれを、俺は黙って聞いていた。 「しかも…、しかもな、一番大事なことまで後手に回って、先に言われたんだから…。俺、かなり情けないな…」 まさか、という想いが湧き上がってくる。 けれど確かな言葉がなくて、信じられない。 「言っただろ? おまえにしか頼めないし、おまえにしかしたくないって」 「…教えて?」 293 名前:P90 ◆zxHMwgV2XM 投稿日:2006/09/15(金) 22 10 06.02 mkRdmMDl0 佐瀬の言葉を遮って、俺は訊いていた。 「佐瀬が…俺のこと、本当はどう思ってるのか、言って…」 そう言った俺に、佐瀬はたった三文字だけ返してくれた。 「好きだ」 絶対にもらえないと思っていた言葉。 俺と、同じだけの熱をもった言葉。 「ほんと…に?」 信じられなくて、嬉しくて…また涙が流れてくる。 「ああ。…それとも、こんな変態はやっぱ嫌か…?」 首を横に振って、自分から佐瀬に抱きついていった。 「佐瀬が…、佐瀬がいっしょにいないほうのが、やだ!」 顔を押し付けながら言うと、佐瀬の腕が背中に回される。 今日は、佐瀬に泣かされっぱなしな気がする。 「俺もだ。……ありがとう」 頬に手を添えられて、上を向かされる。 佐瀬の顔がゆっくり近づいてくるのが恥ずかしかったけど、俺はじっとそれを待っていた。 俺と佐瀬の付き合いは、今日のこの瞬間から新しいものに変わった。 そう、『親友』から『恋人』に。 P90小説 『遠回りの両想い』 完